第77期名人戦7番勝負/第1局・一日目「まさかの千日手成立、仕切り直しは明日二日目」
【 千日手成立局面・58手目△8二飛 】
上図での持ち駒
▲佐藤名人: 歩
△豊島二冠: 角、桂
本日、開幕の時を迎えました「春の本場所」
第77期名人戦7番勝負/第1局は、午後3時2分
上図58手の局面で、まさかの「千日手」が成立。。
「千日手」成立が一日目の午後3時過ぎであったため
本日の残り時間を折半して両者の持ち時間から差し引き
あらためて明日の二日目開始時間より、先後を入れ替え
初手から指し直しとなりました。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲佐藤名人: なし
△豊島二冠: なし
振り駒の結果
先手を得た佐藤名人の初手は飛車先を突く▲2六歩から。
対します、豊島二冠も2手目△8四歩と同じく飛車先を突き
今期の名人戦はスタートとなりました。。
4手目△8五歩。
上図での持ち駒
▲佐藤名人: なし
△豊島二冠: なし
両者はそのまま息を合わせて飛車先を決め
まずは「相掛かり」の出だしとなると。。
9手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲佐藤名人: なし
△豊島二冠: なし
そこから「角換わり」を目指す定跡手順へと進行。
すっかりおなじみとなった変化で迎えた、上図の局面で
佐藤名人は銀を6筋へと繰り上げ、後手からの角交換
あるいは角交換拒否に備えます。。
この手に対し、豊島二冠は。。
10手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲佐藤名人: なし
△豊島二冠: 角
1分の少考で気息を整えてから、角交換を敢行。
手損のない「ノーマル角換わり」となりました。。
20手目△7四歩。
上図での持ち駒
▲佐藤名人: 角
△豊島二冠: 角
角交換成立後
佐藤名人は居玉のまま、銀を4七の地点に繰り上げ
「ノーマル角換わり」の常套手段「腰掛銀」を目指します。。
一方、豊島二冠は
先に居玉を解除すると、上図で飛車のコビンを開き
「棒銀」あるいは「早繰り銀」投入を示唆しますが。。
28手目△6三銀。
上図での持ち駒
▲佐藤名人: 角
△豊島二冠: 角
歩を突いた7三の地点には
銀ではなく桂馬を跳躍させると(24手目△7三桂)
先手と同じく、銀を中央へと繰り出す動きをみせます。。
31手目▲4八金。
上図での持ち駒
▲佐藤名人: 角
△豊島二冠: 角
銀の形を決める前に
佐藤名人は上図で金を立て、最新形である
「▲6八玉+4八金+2九飛」型を完成します。。
すると、豊島二冠も
32手目△6二金。
上図での持ち駒
▲佐藤名人: 角
△豊島二冠: 角
ここも1分の少考で
同じく金を立て、先手陣と対称を成す最新形の
「△4二玉+6二金+8一飛」型を完成しました。。
双方、自陣の駒が組み上がったところで
佐藤名人は9筋の端歩を突いて(33手目▲9六歩)
一息入れつつ、後手の態度を訊ねますが。。
34手目△5四銀。
上図での持ち駒
▲佐藤名人: 角
△豊島二冠: 角
豊島二冠は9筋を受けずに
銀を中央5筋へと繰り出し。「腰掛銀」に構えました。。
この手をみて、佐藤名人は。。
35手目▲5六銀。
上図での持ち駒
▲佐藤名人: 角
△豊島二冠: 角
5分の考慮の後
9筋の位は取らずに、同じく銀を5筋に繰り出し
戦型は「角換わり相腰掛銀」に決定しました。。
38手目△9四歩。
上図での持ち駒
▲佐藤名人: 角
△豊島二冠: 角
戦型も決まり、いよいよ開戦への機運が高まると
豊島二冠は玉を3筋に落とし、囲いに目処をつけました。
(36手目△3一玉)
この手に、佐藤名人も追随し
同じく玉を7筋最下段に落とすと(37手目▲7九玉)
豊島二冠はこのタイミングで、9筋の端歩を受け
盤上には先・後同形模様が描き出されました。。
この局面で、これまでの早い進行に別れを告げ
佐藤名人は手を止め長考に耽ります。。
39手目▲4五桂。
上図での持ち駒
▲佐藤名人: 角
△豊島二冠: 角
48分の長考の末に
佐藤名人は右の桂馬を4筋の戦場へと跳躍。。
後手の銀に当て、仕掛けを開始しました。。
この手をみて
今度は豊島二冠の手が止まり、長考に入ります。。
40手目△2二銀。
上図での持ち駒
▲佐藤名人: 角
△豊島二冠: 角
52分の長考の後
豊島二冠が当たりとなった銀を2筋に引き下げた
上図の局面で午前の対局は終了、昼食休憩に突入。。
【 お昼のメニュー 】
佐藤名人: うな丼(少なめ)
豊島二冠: 鉄火丼と温かいお蕎麦
午後の対局開始時間となっても
佐藤名人の手は止まり、長考を続けます。。
41手目▲5三桂成。
上図での持ち駒
▲佐藤名人: 角、歩
△豊島ニ冠: 角
考えること
午前と合わせて1時間22分の大長考の末
佐藤名人は跳ねた桂馬の連続跳躍を決断。。
敵陣に成り捨て、いきなり開戦を告げました。。
43手目▲7ニ角。
上図での持ち駒
▲佐藤名人: 歩
△豊島ニ冠: 角、桂
豊島ニ冠の△同金(42手目)をみて
佐藤名人はノータイムで手持ちの角を敵陣に投入し
後手の飛車にぶつけた、この手が波乱の一着に。。
45手目▲6一馬。
上図での持ち駒
▲佐藤名人: 歩
△豊島ニ冠: 角、桂
豊島ニ冠が飛車を上げて角に当てると
佐藤名人はすかさず角を成り込み、馬を作りました。。
すると。。
49手目▲6一馬。
上図での持ち駒
▲佐藤名人: 歩
△豊島ニ冠: 角、桂
後手の△3三銀(46手目)をみて
佐藤名人は馬で飛車を追い、豊島ニ冠は追われた飛車を
左右に振って逃がす。。狭い地点で打開の見込みのない
「千日手」ムーブが繰り返されます。。
【 千日手成立局面・58手目△8二飛 】
上図での持ち駒
▲佐藤名人: 歩
△豊島二冠: 角、桂
△8ニ飛~▲7一馬~△5ニ飛~▲6一馬~△8ニ飛。。
飛車と馬の追いかけっこは淡々と続き、上図の局面でついに
盤上に同じ模様が4度、再現され「千日手」が成立。。
駒が組み上がった直後で、もちろん形勢は互角。。
しかし、先手で先に仕掛けながらも「千日手」を受け入れた
佐藤名人の側に、何か誤算が生じたのでしょうか。。
指し直し局は、明日二日目。
注目の名人戦は、思わぬスタートとなりました。。
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舞台は東京