時代のエースへ虎視眈々。。第60期王位戦・白組/最終戦「永瀬叡王-澤田六段を振り返ろう」
今回は一昨日(23日)に行なわれました
第60期王位戦挑決リーグ/最終戦・一斉対局のうち
白組の「永瀬拓矢叡王-澤田真吾六段」の模様を
振り返らせていただきます。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲永瀬叡王: なし
△澤田六段: なし
先手は永瀬叡王。
その初手は角道を開く▲7六歩から。
対します、澤田六段は2手目に飛車先を突く
△8四歩と返して、対局はスタート。。
9手目▲8八銀。
上図での持ち駒
▲永瀬叡王: なし
△澤田六段: なし
そのまま角換わりを目指す定跡手順の進行となり
迎えた上図の局面で、最近は6筋に構えることが多い銀を
永瀬叡王は8筋に開き、後手からの角交換を待ちます。。
この手をみて、澤田六段は。。
10手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲永瀬叡王: なし
△澤田六段: 角
最初から決めていた作戦と
言わんばかりにノータイムで、角交換を敢行。。
手損のない「ノーマル角換わり」となりました。
26手目△7三桂。
上図での持ち駒
▲永瀬叡王: 角
△澤田六段: 角
角交換成立後
両者は銀を中央へと繰り出す動きをみせ
「腰掛銀」を目指しながら、同形模様の進行に。。
34手目△1四歩。
上図での持ち駒
▲永瀬叡王: 角
△澤田六段: 角
さらに同形模様の進行は続き
永瀬叡王が最新形の「▲6八玉+4八金+2九飛」型に
自陣の駒を組み上げると、澤田六段もすぐにリバースモードの
「△4ニ玉+6ニ金+8一飛」型を完成させました。
双方、自陣の駒が組み上がると
1筋の端歩を突き合ってから、永瀬七段が次に
6筋の歩を突いたのをみて(35手目▲6六歩)。。
36手目△5四銀。
上図での持ち駒
▲永瀬叡王: 角
△澤田六段: 角
澤田六段は銀を5筋の戦場へと繰り出し
先手に先がけ、「腰掛銀」に形を決めました。
しかし、この手をみて
永瀬七段もすぐに銀を5筋に繰り出し(37手目▲5六銀)
戦型が「角換わり相腰掛銀」に決定すると。。
38手目△6三銀。
上図での持ち駒
▲永瀬叡王: 角
△澤田六段: 角
戦場に腰掛けたばかりの銀を
すかさず自陣に引き下げ、手番を先手に渡しました。。
45手目▲4五桂。
上図での持ち駒
▲永瀬叡王: 角
△澤田六段: 角
手損覚悟で先手からの仕掛けを待つ、後手に対し
永瀬叡王は悠々と玉の入城を完了してから(43手目▲8八玉)
上図の局面で爽やかに桂馬を跳ね、仕掛けを開始しました。。
澤田六段は狙われた銀を引き下げ(46手目△2ニ銀)
以下、▲3五歩~△同歩~▲6五歩~△同歩~▲5五銀~
△3三桂に▲1八角~△8ニ飛~▲2四歩~△同歩をみて
下図57手目▲同飛とトントン拍子で進行。。
57手目▲2四同飛。
上図での持ち駒
▲永瀬叡王: 歩
△澤田六段: 角、歩3
永瀬叡王は最初の仕掛けから流れるような指し回しで
桂馬を起点に、手持ちの角を自陣1筋の端に設置すると
歩交換を成立させつつ、飛車を突進させました。。
上図から、次に
澤田六段は8筋の歩を突き捨ててから
先手の飛車先に金を直接ぶつけて(60手目△2三金)
すみやかな移動を勧告しますが。。
63手目▲3三桂成。
上図での持ち駒
▲永瀬叡王: 桂、歩
△澤田六段: 角、歩3
永瀬叡王は抜け目なく
6筋に一本叩きを入れてから(61手目▲6四歩)
王手でしっかり手番を握り、桂交換を敢行。。
そつなく利かしと捌きを入れてから
飛車を元居た場所へと引き戻します(65手目▲2九飛)。。
さらに
69手目▲3三角成。
上図での持ち駒
▲永瀬叡王: 金、桂、歩
△澤田六段: 角、桂、歩2
思うように手が伸びない後手を横目に
永瀬叡王は見切り良く、金との交換で角切りを敢行。。
攻撃の手を緩めず、一気呵成に終盤戦の幕を開きます。。
101手目▲6八金。
上図での持ち駒
▲永瀬叡王: 桂2、歩6
△澤田六段: 角
永瀬叡王が形勢を握って迎えた終盤戦
澤田六段は猛攻に次ぐ猛攻で活路を求めますが
しかし、永瀬叡王は根気良く丁寧に面倒をみながら
注意深く、勝利への道を見極めます。。
【 投了図・139手目▲3三銀 】
投了図での持ち駒
▲永瀬叡王: 飛、桂、歩4
△澤田六段: 銀、桂2、歩3
澤田六段は最後の最後まで食らいつきましたが
永瀬叡王は急所を逃さず、後手玉をキッチリ仕留めた
上図の局面で、澤田六段は無念の投了を告げました。。
確かな読みとしたたかさをみせつけた
永瀬叡王は4勝1敗の成績で全日程を終了。。
同星で並んだ羽生善治九段との白組優所を懸けた
プレーオフ進出が決定しました。。
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王位戦リーグ/プレーオフは6月4日。。
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囲碁界のスーパースター・井山四冠の現在地