第30期竜王戦決勝トーナメント/1回戦「増田四段-藤井四段の終盤戦を振り返ろう」
47手目▲2ニ歩。
上図での持ち駒
▲藤井四段: 角2、歩
△増田四段: 歩2
昨日行なわれました大注目の一戦
第30期竜王戦決勝トーナメント/1回戦
「増田康宏四段-藤井聡太四段」は
上図の局面で夕食休憩に突入。。
角切りの強襲で手にした金で
増田四段は先手の飛車を追い詰めましたが
藤井四段は握った手番で後手陣2筋の桂馬を叩き
反撃を狼煙を上げます。。
上図の局面は実は手が広く
▲7七桂と跳ねてお返しに後手の飛車に狙うか
あるいは▲3三歩と叩いて後手陣を乱すか。。
いずれも有効な手段であり
増田四段は▲3三歩を本戦に読んでいたとのこと。。
▲2ニ歩をみて、増田四段の手が止まります。。
藤井四段はノータイムで▲2ニ歩を選択。
正確無比にして驚きの大局感と自慢の豪腕が披露される
その前に、神童もまずは腹をこしらえます。。
【 夕食のオーダー 】
藤井四段: ワンタンメン
増田四段: ヒレカツ定食(ライト)
午後の対局開始の一手で
増田四段は△同金(48手目)とし、この歩を払います。
これしかない一手ですが増田四段は51分、時間を使い
慎重に読みを入れ直し、決断を下しました。。
49手目▲7七桂。
上図での持ち駒
▲藤井四段: 角2、歩
△増田四段: 歩3
すると、藤井四段は
16分の考慮の後、左の桂馬を跳躍。。
後手の浮き飛車に当てて、手番を稼ぎます。。
この手に対して
後手は△5九金とし先に飛車を捕獲する手も
十分に考えられましたが、増田四段は勝負には出ず
ジッと飛車を自陣に引き下げました(50手目△8ニ飛)。。
すると、次の瞬間。。
51手目▲6五桂。
上図での持ち駒
▲藤井四段: 角2、歩
△増田四段: 歩3
藤井四段は爽やかに左の桂馬を連続跳躍。。
戦場にヒラリと構えて前線への圧力を強めました。。
増田四段はここでも飛車は取り込まず
銀を引き上げ守りを固めて(52手目△6ニ銀)、以下
▲7五角~△3ニ金~▲2ニ歩~△3三桂をみて
下図57手目▲同銀成と進行。。
57手目▲3三同銀成。
上図での持ち駒
▲藤井四段: 角、桂
△増田四段: 歩3
藤井四段は一直線でアクセルを踏み込み
盤上を広く使って攻撃態勢を整えると、間髪入れずに
銀で桂馬を捕獲、いざ勝負と畳み掛けます。。
次に、増田四段が銀を金で払ったのをみて。。
(58手目△同金)
59手目▲1五角。
上図での持ち駒
▲藤井四段: 桂
△増田四段: 銀、歩3
藤井四段は二枚目の角を1筋に投入。
敵陣の金と自陣で飛車を狙う金を両方射抜いた
この一手が夕食休憩前の局面から狙っていた
藤井四段の切り返し。。
62手目△3ニ銀。
上図での持ち駒
▲藤井四段: 金、桂
△増田四段: 飛、銀、歩
増田四段はここでようやく
飛車を取り込み一息入れると(60手目△5九金)
すかさず自陣に手を戻し、守勢を強めますが。。
63手目▲5三桂打。
上図での持ち駒
▲藤井四段: 金
△増田四段: 飛、銀、歩3
藤井四段は構うことなく
角のライン上に桂馬を打ち込み攻勢を強めます。。
68手目△3一歩。
上図での持ち駒
▲藤井四段: 金
△増田四段: 飛、銀、歩2
夕食休憩明けからは思うように手が伸びず
防戦一方の苦しい展開となった増田四段は
渾身の粘りでチャンス到来を待ちますが。。
しかし、上図から次に
藤井四段は「と」金で銀を捕獲すると(69手目▲3ニと)
以下、△同歩~▲6四角~△6八歩~▲同金~△5ニ玉に
▲3四歩~△同金直~下図77手目▲4一桂成と進行。。
77手目▲4一桂成。
上図での持ち駒
▲藤井四段: 金、銀、歩
△増田四段: 飛、銀、歩3
藤井四段は圧倒的な指し回しで瞬く間に
後手の陣形を乱し、二枚の角の利きを通して
形勢を大きく掴みました。。
【 投了図・91手目▲3八飛 】
投了図での持ち駒
▲藤井四段: 歩
△増田四段: 銀、歩3
増田四段も反撃転じますが、しかし
形勢の差を覆すには至らず、上図の局面をみて
無念の投了を告げました。。
素晴らしい大局感と終盤力をみせつけた
藤井四段が見事な完勝で連勝を「29」に伸ばし
歴代最高記録を更新しました。。
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藤井四段、新記録達成直後の感想。。