踏み込みは強く、激しく。。第45期棋王戦・本戦/2回戦「羽生九段-杉本八段を振り返ろう」
王位戦/第3局の余韻も程よく残りますが、今回は
同じく昨日行なわれました、第45期棋王戦の本戦/2回戦
注目の「羽生善治九段-杉本昌隆八段」の一戦の模様を
振り返らせていただきます。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲杉本八段: なし
△羽生九段: なし
本局の先手は杉本八段。
その初手でいきなり飛車に手をかけ、7筋へと振り
本局へ懸ける想いと闘志漲る「三間飛車」に構えました。。
対します、羽生九段は2手目に
△8四歩と飛車先を突き、こちらは居飛車を明示して
両者の実に8年ぶりの公式戦対局はスタート。。
15手目▲6七銀。
上図での持ち駒
▲杉本八段: なし
△羽生九段: なし
続く3手目に、角道を開いた杉本八段は
すかさず飛車先を決め、角道を開いた羽生九段に対し
8筋を▲7七角で受けてから角道を止め(7手目▲6六歩)
まずは正調の「三間飛車」の駒組みを進めます。。
32手目△1ニ香。
上図での持ち駒
▲杉本八段: なし
△羽生九段: なし
一方の羽生九段は、先手の駒組みをけん制しつつ
上図で1筋の歩を一段繰り上げ、振り飛車の天敵である
堅くて遠い「穴熊」を明示しました。。
45手目▲1九玉。
上図での持ち駒
▲杉本八段: なし
△羽生九段: なし
羽生九段はそのままよどみなく
「穴熊」に玉を収めて銀のハッチを閉めると
角も取り込み駒を連結、重厚な囲いを築きます。。
後手の手厚き動きに対して
杉本八段は早い仕掛けは一旦見送り
同じく1筋の隅に玉へ収めました。。
50手目△7五歩。
上図での持ち駒
▲杉本八段: なし
△羽生九段: なし
戦型は「相穴熊」となり
先手も二枚の金を「穴熊」に寄せて行き
後手に負けじと手厚い囲いを目指します。。
しかし、上図の局面で
羽生九段は7筋の歩を突き合わせ
機敏に仕掛けを開始しました。。
杉本八段は▲同歩(51手目)と応じて、以下
△7ニ飛~▲6四歩~△同歩~▲6八飛に△8六歩~
▲6四飛~△8七歩成~▲6一飛成~△7五飛~▲6六角~
△8五飛をみて、下図63手目▲4五歩と進行。。
63手目▲4五歩。
上図での持ち駒
▲杉本八段: 歩2
△羽生九段: 歩3
杉本八段もすぐに反撃。。
後手に先がけ、飛車の成り込みに成功すると
巧みに手番を握りながら、攻勢を強めます。。
が、しかし。。
72手目△4三金引。
上図での持ち駒
▲杉本八段: なし
△羽生九段: 歩6
後手の重厚長大な「穴熊」を前に
一息での攻略は無理と、細かく歩を利かせながら
コツコツと、後手陣にかじりつく杉本八段に対して
羽生九段は上図で金を引き、角交換を注文すると。。
80手目△7ニ飛。
上図での持ち駒
▲杉本八段: なし
△羽生九段: 桂、歩6
直後に角交換に応じた
杉本八段が握った手番で馬を作ったのをみて
羽生九段は桂馬を捕獲してから(76手目△8九「と」金)
角を9筋に投入し、今度は飛車交換を求めました。。
87手目▲4一飛。
上図での持ち駒
▲杉本八段: なし
△羽生九段: 桂、歩6
杉本八段はここでも注文を受けて立ち
飛車交換が成立すると、両者ははすぐさま
手にした飛車を敵陣へと打ち込み、いよいよ
終盤戦の幕が開きます。。
すると。。
98手目△4四桂。
上図での持ち駒
▲杉本八段: 桂、歩2
△羽生九段: 歩6
羽生九段の攻め手が一気に伸びて行き
3筋を切り崩してから、上図で銀の両取りを掛け
鮮やかにして華やかに形勢の針を引き寄せました。。
115手目▲3一龍。
上図での持ち駒
▲杉本八段: 銀、桂2、歩2
△羽生九段: 歩5
駒を回転させながら圧倒的に攻め続ける
羽生九段の猛攻の前に防戦一方となった杉本八段は
上図で敵陣で詰まれた龍を銀との交換で切る羽目になり
攻守ともに厳しい展開を強いられます。。
【 投了図・136手目△3八角 】
投了図での持ち駒
▲杉本八段: 角、金2
△羽生九段: 金、桂、歩6
それでも、杉本八段は最後の最後まで
必死に食らいつき、勝利への執念を燃やしますが
しかし、大きく傾いた形勢の針を引き戻すには至らず
上図の局面でついに力尽き、無念の投了を告げました。。
機敏な仕掛けから中終盤を圧倒した羽生九段は
強さ漲る見事な完勝で、8月最初の公式戦を飾りました。
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昨日は対抗形で勝利。。
明日、公式戦2局に登場
中澤女流も試練のシーズン。。