第30期竜王戦決勝トーナメント/準決勝「羽生三冠-稲葉八段の終盤戦を振り返ろう」 | 柔らかい手~個人的将棋ブログ

第30期竜王戦決勝トーナメント/準決勝「羽生三冠-稲葉八段の終盤戦を振り返ろう」

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51手目▲6五歩。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生三冠: 歩2

△稲葉八段: 歩3

 

昨日、東京・将棋会館にて行われました

注目の第30期竜王戦決勝トーナメント/準決勝

「羽生善治三冠-稲葉陽八段」は上図の局面で

夜戦に備えて夕食休憩に突入。。

 

 

夕食休憩前までの流れ

 

 

 

17手目▲6八玉。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生三冠: 歩3

△稲葉八段: 歩2

 

戦型は両者得意の「横歩取り」。

羽生三冠は飛車を浮かせたまま玉を6筋に構える

現在大流行中の「勇気流」を採用しました。。

 

 

 

41手目▲7五歩。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生三冠: 歩

△稲葉八段: 歩2

 

「横歩取り」の主役である

左右の桂馬を跳躍させた羽生三冠に対して

稲葉八段は飛車・角の大駒を自陣に留め

じっくりとした駒組みを指向。。

 

しかし、開戦ムードが高まる中

上図で羽生三冠が7筋の歩を突き合せると

稲葉八段は40分の長考に沈み、難解極まる

次の手を模索します。。

 

 

 

 

51手目▲6五歩。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生三冠: 歩2

△稲葉八段: 歩3

 

長考の末、稲葉八段が△同歩(42手目)と応じると

羽生三冠はその歩を飛車で払い(43手目▲7五同飛)

大駒を並べて構え、左サイドの制空権を確保しました。。

さらに6筋の位を確保した上図の局面で夕食休憩に突入。。

 

 

【 夕食のオーダー 】

 

羽生三冠: 中華そば

稲葉八段: 若鶏唐揚げ定食

 

 

 

52手目△5四金。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生三冠: 歩2

△稲葉八段: 歩3

 

午後の対局開始の一手で

稲葉八段は守りの要・金を5筋に戦場に繰り出し

先手が張った6筋の位を咎めに出ました。。

 

 

この手をみて

羽生三冠は19分の考慮の後に。。

 

 

 

53手目▲4五歩。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生三冠: 歩2

△稲葉八段: 歩3

 

スッと4筋の歩を突き合わせ

飛車の横利きを通し、捌きの下準備に入ります。。

 

 

 

64手目△7五歩。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生三冠: 歩2

△稲葉八段: 歩3

 

 

稲葉八段の方針は押さえ込み。

自らの飛車・角を温存しながら先手の大駒を

巧みに抑えて均衡を保ちますが。。

 

長らく戦場に居を構える飛車が圧迫された

羽生三冠が次に、この歩を角で払ったのをみて。。

(65手目▲同角)

 

 

 

66手目△7四銀。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生三冠: 歩3

△稲葉八段: 歩3

 

稲葉八段はノータイムで

銀を先手の角頭にぶつけ、満を持して

戦闘開始を告げました。。

 

 

 

67手目▲4五銀。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生三冠: 歩4

△稲葉八段: 歩3

 

ここで角を引くと、次の△7五歩が厳しい

羽生三冠は代わりに4筋で銀を金にぶつけて

攻め合いを指向し、勝負に出ます。。

 

稲葉八段は望むところと

角を取り込み(68手目△7五銀)、以下

▲同飛~△3三歩~▲8三歩~△9ニ飛に▲5四銀~

△同歩をみて、下図75手目▲8ニ金と進行。。

 

 

 

75手目▲8ニ金。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生三冠: 銀、歩3

△稲葉八段: 角、銀、歩2

 

そのまま駒を捌き合うと

羽生三冠は握った手番で金を後手陣に打ち込み

露骨に稲葉飛車を9筋の端へ封じ込めました。。

 

さらに。。

 

 

 

85手目▲7三銀。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生三冠: 桂、歩3

△稲葉八段: 角、銀、歩3

 

稲葉飛車が脱出を試みる間に

桂馬を取り込み、後手の角も近くに呼んだ

羽生三冠は狭い地点にガッツンと銀を打ち込んで

大駒の捌きと後手陣攻略を同時に狙います。。

 

先手の大胆な指し回しの前に、稲葉八段は次に

活用の見込みのなくなった角を切り(86手目△同角)、以下

▲同金に△8一飛~▲6三金~△同金~▲7ニ飛成に

△4一飛をみて、下図93手目▲4四桂と華麗に進行。。

 

 

 

93手目▲4四桂。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生三冠: 角、歩4

△稲葉八段: 角、金、銀2、歩3

 

泥臭い手からの洗練された差し回しで

羽生三冠が一方的に手番を握り続け、盤上を支配。。

あっという間に形勢を引き離しました。。

 

「羽生三冠-稲葉八段」の棋譜中継はこちら

 

 

【 投了図・99手目▲4三歩 】

 

 

投了図での持ち駒

 

▲羽生三冠: 飛、歩3

△稲葉八段: 角2、銀2、歩3

 

上図の局面をみて稲葉八段、無念の投了。

名人戦に続くビッグタイトル挑戦は成りませんでした。。

 

終局時刻は午後9時48分。

若き秀英を一蹴した羽生三冠が、竜王挑戦を目指し

威風堂々、決勝三番勝負へ駒を進めました。。

 

 

 

 

 

 

 

 

□□□

 

決勝三番勝負は松尾歩八段と対戦。。

 

 

「羽生三冠、決勝三番勝負へ」

 

 

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三度目の正直なるか。。

秋の陣、第65期王座戦挑戦者は

 

貴公子・中村六段に決定

 

 

 

 

 

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神童は手厚く。。

 

藤井四段、完勝で銀河戦本戦進出

 

 

 

 

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王位戦は苦しいスタートに。。

 

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