羽生善治三冠とサイバーエージェント藤田社長、二人の考える将棋のいいところとは?

羽生善治三冠とサイバーエージェント藤田社長、二人の考える将棋のいいところとは?

ライター: AbemaTV将棋チャンネル編集局  更新: 2017年08月04日

2017年4月22日。AbemaTV内に開設された「将棋チャンネル」にて、羽生善治三冠とサイバーエージェント社長・藤田晋氏の特別対談が放送されました。

若くして成功を収めながら、常に熾烈な戦いの中に身を置く羽生三冠。一方、24歳という若さでサイバーエージェントを起業し、26歳で当時史上最年少での上場を果たした藤田氏。将棋への造詣も深く、麻雀の腕前はプロ並みを誇るといいます。

共に勝負の世界で生きる40代であり、数多くの共通点を持つ羽生三冠と藤田氏。本サイトでは、AbemaTVで大きな反響を呼んだ2人の特別対談を再編集し、全4回の対談記事として公開いたします。ぜひ最後までお楽しみください。

AbemaTV「将棋チャンネル」開設のきっかけ

羽生:藤田さんとは10年前に一度、「AmebaVision」というところの対談番組でお会いしまして。随分とお久しぶりですね。

藤田:ちょうどあの頃に映像事業を始めまして、そのときのノウハウを「AbemaTV」にもいかしているんです。あの時は、羽生さんの書いた『決断力』という本に感動しまして、ぜひ会いたいということで対談をお願いしたんです。

羽生:そうでしたか。どうも、お久しぶりで。2月にはAbemaTV内に「将棋チャンネル」を開設していただきまして、ありがとうございました。

habufujita01_01.jpg

藤田:羽生さんには初日に出演いただきましたが、あの日からずっと数字がいいんです。やっぱり、将棋にはファンがしっかりいることを実感します。正直、麻雀チャンネルがうまくいっているので、将棋もやろうってなったのですが、将棋界をあげて協力してくれていることもあって、将棋チャンネルはとても好調です。

羽生:将棋の良さは、幅広い年代の人たちが参加しているところでもありまして。こういうチャンネルを作っていただけると、また大きく将棋の普及にもつながりますし、とてもありがたく思っています。そもそもチャンネル開設のきっかけは、どういうものだったのでしょうか?

藤田:開設のきっかけは、棋士の鈴木大介さんです。もう24年以上も前になりますが、僕が20歳ぐらいの時に、桜井章一さんの「牌の音」にずっと通い詰めていたことがありまして。その時に、鈴木大介さんと一緒に麻雀を打っていた時期があったんです。それから何年か後に、彼が将棋棋士として出てきて、「あの人、将棋棋士だったんだ」って初めて知りました。

羽生:麻雀仲間だったから、棋士ということは知らなかったんですね。

藤田:全然知りませんでした。漫画『ハチワンダイバー』の監修などもやられていて、すごい人だと後で知りました。鈴木さんとは4年前ぐらいに再会したのですが、ある日、彼から突然連絡がありまして「AbemaTVで将棋チャンネルをやりたい」という話になって、それで「じゃあ、やりましょうか」となったわけです。

将棋は野球に近く、麻雀はサッカーに近い

羽生:AbemaTVは開局から1周年ということで、その前から試験放送もだいぶされていましたけど、見ている方々からの反響はいかがですか?

藤田:去年1年間でもっともダウンロードされた国内アプリが、実はAbemaTVなんです。ただ、スマートフォンサービスというのはダウンロード数以上に、アプリをアクティブに使っている「ユニークユーザー」という数字が大事でして。で、AbemaTVのユニークユーザーというのが、1月の1カ月間で850万人でした。この数字は、メディアの立ち上がりという意味では、かなり順調だと思います。

羽生:それは想像されていた以上、という感じでしょうか。

藤田:僕は結構厳しく事業計画を見積もっていたのですが、それに比べるとだいぶん調子がいいです。ネットユーザーは自分の興味があるものしか見ない傾向が強いのですが、AbemaTVの場合は、そこまで詳しくない人が麻雀チャンネルや将棋チャンネルを見ていたりします。そういう意味では、メディアとしての役割を構造上果たせている気がします。

羽生:将棋には「ルールを覚えて面白くなるまでの敷居が高い」というイメージがあるように思います。そういう人たちが、AbemaTVの将棋チャンネルを見て、少しは将棋に関心を持ってくれたりすると、すごくうれしいなと思っています。

habufujita01_02.jpg

藤田:将棋チャンネルを見ていて気づいたのですが、もっとレベルの高い人向けなのかと思いきや、意外とそうではなく、みなさんすごく分かりやすく解説されていますよね。

羽生:ああ、それはあります。解説する側は誰が見ているか分からないこともありますし、まずは分かってもらうための解説ですからね。あと、たくさん言葉を使って丁寧に説明をすると、将棋に詳しくない人にもちゃんと伝わるからだと思います。スポーツ中継などと違って、将棋はそれほど一気に状況が変わりませんし、一手ずつじっくり時間を掛けて解説する時間もあります。ラグビーのようなスポーツだと、あっという間にいろんなことが起こってしまいますからね。そのあたりは、将棋のいいところだと思います。

藤田:将棋中継って映像的な動きが少ない分、退屈に思われがちなところがあります。でも、見ている間はずっと一緒に考えることになるから、本当は全然飽きない。

羽生:将棋は、野球とサッカーで比べると、より野球に近い競技なのかなと。野球中継って、ホームランの瞬間などは見逃せませんが、そこまで集中して見ていなくても、なんとなく試合の流れが分かるところがあります。そういう時間を掛けて楽しむ娯楽の要素が、将棋にはあるような気がします。

藤田:将棋は序盤から見ても、中盤から見ても、どこから見ても楽しめますからね。そういう意味では、麻雀はどちらかといえばサッカー中継に近い気がします。

羽生:ああ、そうかもしれません。それこそ1打、2打もそうですが、1周しただけで状況がまるっきり変わってしまいますからね。

藤田:僕、AbemaTVの麻雀チャンネルにはかなり出演していまして。プレイヤーとして打っているというか。

羽生:そうだったんですか。せっかくなら将棋チャンネルのほうにも、ぜひ(笑)。

藤田:よくそう言われるんです。ただ、けっこう頻繁に麻雀チャンネルに出ていたりするので、麻雀チャンネルにも将棋チャンネルにも僕が出ていたら、さすがに「この社長、全然仕事してないな」となりそうで。というか、すでにそう思われてます(笑)。

abema_br.png

羽生三冠×藤田社長 特別対談 ~勝負の世界で生きる40代~

AbemaTV将棋チャンネル編集局

ライターAbemaTV将棋チャンネル編集局

インターネットテレビ局『AbemaTV 将棋チャンネル』では、名人戦などの棋戦を生中継したり、AbemaTVオリジナル番組を放送予定。24時間いつでもどこでも将棋が無料で楽しめるチャンネルです。

このライターの記事一覧

この記事の関連ワード

  • Facebookでシェア
  • はてなブックマーク
  • Pocketに保存
  • Google+でシェア

こちらから将棋コラムの更新情報を受け取れます。

Twitterで受け取る
facebookで受け取る
RSSで受け取る
RSS

こんな記事も読まれています