第58期王位戦7番勝負/第3局「羽生王位、今シリーズ待望の初白星」
7連覇を目指す羽生善治王位に
振り飛車党の若き旗頭・菅井竜也七段が挑戦する
将棋界「夏の風物詩」第58期王位戦7番勝負。
ここまで2局を消化し、菅井七段が2連勝。
シリーズの流れを決めかねない注目の第3局が
昨日、北海道札幌市「京王プラザホテル札幌」にて
開幕の時を迎えました。。
第3局の先手は羽生王位。
落とすとカド番に立たされる本局の初手は
角道を開く▲7六歩から。。
対します、菅井七段も2手目に同じく
角道を開く△3四歩と返し、対局はスタート。。
4手目△5四歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△菅井七段: なし
羽生王位が続く3手目に
飛車先の歩を突き居飛車を明示すると
菅井七段はすかさず中央5筋の歩を突いて
振り飛車投入を示唆します。。
6手目△3ニ飛。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△菅井七段: なし
この手をみて
羽生王位が飛車先を決め、作戦を訊ねると
菅井七段は飛車を3筋へと振り「三間飛車」投入。
さらに
羽生王位が居玉を解除するや、いなや。。
(7手目▲6八玉)
8手目△8八角成。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△菅井七段: 角
菅井七段はノータイムで角交換を敢行。
今期ここまで尋常ならざる切れ味で白星を量産する
振り飛車党の急先鋒は本局でも独自のリズム全開に
「角交換振り飛車」での勝負を志向しました。。
31手目▲6七角。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△菅井七段: 角
角交換成立後
菅井七段は飛車を2筋に振り直してから
玉を手堅く「美濃囲い」の中へとおさめます。。
一方の羽生王位も玉の入城を完了してから
手持ちの角を、自陣の好所へ機敏に打ち込み
3筋に跳ねた後手の桂馬の丸い頭を狙います。。
41手目▲1四歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 歩
△菅井七段: 角
羽生王位は角を3筋に迫り出すと
玉頭戦の構えをみせる菅井七段を横目に
1筋の端から仕掛けを開始しました。。
46手目△9五歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△菅井七段: 角、歩
ならば、と菅井七段は8筋に
桂馬をポーンと跳ねてから(44手目△8五桂)
9筋の端歩を突き合わせ、反撃の狼煙を上げます。
羽生王位は▲同歩(47手目)と応じて、以下
△1ニ香~▲8六歩~△9八歩~▲同香に△9七歩~
▲同桂~△同桂成~▲同香~下図56手目△7五歩と進行。。
56手目△7五歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 桂、歩3
△菅井七段: 角、桂
9筋で桂交換を成立させてから
菅井七段はさらに攻勢を強めますが。。しかし
65手目▲3五桂。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 歩4
△菅井七段: 角、桂
羽生王位が起点に据えた角の真下に
手持ちの桂馬を投入すると、先手の模様は
俄然、攻撃的な迫力を醸し出します。。
この局面で菅井七段の手が止まり
そのまま「封じ手」かと、思われましたが。。
【 一日目終了図・66手目△5ニ金 】
66手目△5ニ金。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 歩4
△菅井七段: 角、桂
一日目終了時刻(午後6時)の4分前に
菅井七段は26分の考慮の末、金を5筋に上げ
先手の下駄を預けました。。
この局面で
羽生王位が次の手を封じて一日目は終了。。
一夜が明け
迎えた本日、決着の二日目。。
67手目▲9四歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 歩4
△菅井七段: 角、桂
すでに形勢良しに思われる
羽生王位の「封じ手」は本命の▲9四歩。
端歩を厳しく突き出し、二日目をスタート。。
この「封じ手」をみて
菅井七段が18分の考慮で8筋に銀を上げると。。
(68手目△8三銀)
69手目▲7七歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 歩3
△菅井七段: 角、桂
羽生王位は自陣に手を戻し
落ち着き払って7筋のキズを消します。。
この手をみて
菅井七段が5筋の金を立てた(70手目△5三金)
次の瞬間。。
71手目△2四歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 歩3
△菅井七段: 角、桂
羽生王位は29分の考慮の後
狙いの一着だった2筋の歩を突き合わせ
いざ、開戦を告げました。。
菅井七段は△同歩(72手目)と応じて、以下
▲2三歩~△2一飛~▲2四飛~△4四金~▲1六角に
△2五歩をみて、下図79手目▲2ニ歩成と進行。。
79手目▲2ニ歩成。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 歩3
△菅井七段: 角、桂
菅井七段は何とか水際で侵攻阻止を図りますが
羽生王位は飛車先から強く踏み込み、迷い無く
後手陣突破を狙います。。
87手目▲6七歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 歩2
△菅井七段: 角、桂
午前の対局は上図87手目まで進行。
菅井七段が踏ん張り、何とか突破を許さず
午後に望みを繋いでお昼休憩突入となりました。。
【 お昼のメニュー 】
羽生王位
ビーフカレー、オレンジジュース
菅井七段
北海道産黒米うどん(冷)、生寿司(なまずし)
オレンジジュース
88手目△9四香。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 歩2
△菅井七段: 角、桂、歩
午後の対局開始の一手で
菅井七段は狙われた6筋の銀を逃げずに
9筋の香車を走らせて歩の盾を弾き飛ばし
いよいよ勝負に出ました。。
羽生王位もわが道を銀を取り込み(89手目▲6五歩)
以下、△9六歩~▲同香~△同香~▲9七歩~△同香成~
▲同玉~△9六歩~▲8八玉に下図98手目△9七角。。
98手目△9七角。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 銀、香、歩2
△菅井七段: 桂、香、歩
菅井七段は立て板に水の指し回しで
スイスイと9筋を攻略し、羽生玉に迫ります。。
が、しかし。。
111手目▲2ニ飛成。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 角、金、歩
△菅井七段: 銀、香、歩2
羽生王位は寸でのところで
後手の角を追い払い、さらには取り込むと
上図で金との交換で飛車切りを敢行。。
手番を握り、勝負を決めに行きます。
【 投了図・137手目▲7三金 】
投了図での持ち駒
▲羽生王位: 歩2
△菅井七段: 飛、角、銀、香2、歩3
中盤で開いた形勢の差は大きく
最後は紛れようのない寄せを前にして
上図の局面で菅井七段、無念の投了。。
羽生王位が気合漲る勝利を飾り
今シリーズ待望の初白星、今後の巻き返しへ
大いに気勢を上げました。
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王位戦/第3局・一日目の所管
「冬の本場所」竜王戦へ。。
決勝三番勝負は松尾歩八段と対戦。。
羽生三冠、藤井四段を語る
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藤井四段激戦譜(炎の七番勝負など)