第30期竜王戦挑戦者決定三番勝負/第1局「羽生三冠、優勢で終盤戦へ」
「冬の本場所」第30期竜王戦挑戦権を懸けた
決勝三番勝負「羽生善治三冠-松尾歩八段」が
本日、東京・将棋会館にて開幕。。
振り駒で決まる開幕戦の手番で
幸先良く先手を得たのは、羽生三冠でした。
2手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲羽生三冠: なし
△松尾八段: なし
羽生三冠の初手は角道を開く▲7六歩。
対します、松尾八段も2手目に同じく角道を開く
△3四歩と返して、対局はスタート。。
6手目△8五歩。
上図での持ち駒
▲羽生三冠: なし
△松尾八段: なし
次に両者は息を合わせて飛車先を決め
いざ、「横歩取り」を目指す序盤の出だしに。。
14手目△8六同飛。
上図での持ち駒
▲羽生三冠: 歩2
△松尾八段: 歩2
「横歩取り」はもちろん両者の得意戦法。
そのまま確立された定跡手順の進行となり
互いに角玉を金で受け、飛車先で歩を交換し
迎えた上図から、次に。。
15手目▲3四飛。
上図での持ち駒
▲羽生三冠: 歩3
△松尾八段: 歩2
羽生三冠が2筋の浮き飛車で
お隣り3筋の歩をかすめとり、戦型は
「横歩取り」に決定しました。。
次に、松尾八段が3筋に回った先手の飛車先を
やはり定跡通りに角で受けると(16手目△3三角)。。
17手目▲3六飛。
上図での持ち駒
▲羽生三冠: 歩3
△松尾八段: 歩2
代えて▲6八銀から
現在、大流行中の「勇気流」となるところで
羽生三冠はオーソドックスに飛車を引き下げました。。
23手目▲5八玉。
上図での持ち駒
▲羽生三冠: 歩2
△松尾八段: 歩2
一方、飛車を8五の地点に引いた松尾八段が
玉を4筋に寄せたのをみて(24手目△4一玉)
羽生三冠は玉を立て「中住まい」に構えます。。
次に、松尾八段が
△6ニ銀(24手目)とし玉の囲いを目指すと。。
25手目▲3三角成。
上図での持ち駒
▲羽生三冠: 角、歩2
△松尾八段: 歩2
羽生三冠は2分の少考の後
このタイミングで角交換を敢行しました。。
松尾八段は△同桂(26手目)で角を払い
以下、▲7七桂~△8四飛~▲7五歩~△5一金に
下図31手目▲5八金と足早に進行。。
31手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲羽生三冠: 角、歩2
△松尾八段: 角、歩2
角交換成立後
互いに右の桂馬を跳躍させてから
松尾八段は飛車を一段引いて「中原囲い」を完成。
羽生三冠は銀を上げ玉の左腹を引き締めました。。
すると、次の瞬間。。
32手目△3六歩。
上図での持ち駒
▲羽生三冠: 角、歩2
△松尾八段: 角、歩
松尾八段は3筋の歩を突き合わせ
すかさず反撃を開始します。。
36手目△7四歩。
上図での持ち駒
▲羽生三冠: 角、歩3
△松尾八段: 角
松尾八段は先手の飛車先を押さえてから
先手が位を張った7筋の歩を咎めに行きますが。。
37手目▲9五角。
上図での持ち駒
▲羽生三冠: 歩3
△松尾八段: 角
羽生三冠は松尾飛車のこめかみ目掛けて
手持ちの角を投入。横利きの止まった後手飛車に
移動を勧告したこの局面で午前の対局は終了となり
お昼休憩突入となりました。。
【 お昼のオーダー 】
羽生三冠: ヒレカツ定食ライト
松尾八段: しょうが焼き定食
午後の対局開始となっても
松尾八段は次の手を指さずに長考に耽ります。。
39手目▲3五歩。
上図での持ち駒
▲羽生三冠: 歩3
△松尾八段: 角
1時間36分の大長考の末に
松尾八段が飛車を自陣に引き下げると(38手目△8ニ飛)
羽生三冠は8分の考慮で3筋の歩を伸ばしました。
この手をみて、松尾八段は。。
40手目△5五角。
上図での持ち駒
▲羽生三冠: 歩3
△松尾八段: なし
今度は1分の小考で
天王山5筋の位に手持ちの角を投入。。
八方を睨み、勝負をかけます。。
この局面で羽生三冠の手が止まり、長考へ。。
43分、時間を費やし読みを入れ直してから。。
41手目▲6ニ角成。
上図での持ち駒
▲羽生三冠: 銀、歩3
△松尾八段: なし
銀との交換でズバッと角切りを敢行。。
羽生三冠は高らかに、いざ開戦を告げました。。
松尾八段は飛車で角を払い(42手目△同飛)、以下
▲4六銀~△6四角~▲3四歩~△4四歩~▲3三歩成に
△同金に▲5六歩~△5四歩~下図51手目△7四歩と進行。。
51手目▲7四歩と進行。
上図での持ち駒
▲羽生三冠: 桂、歩4
△松尾八段: 角、歩
羽生三冠は3筋の桂馬に続いて
7筋の歩を取り込み、攻勢を強めます。。
53手目▲4八金。
上図での持ち駒
▲羽生三冠: 桂、歩4
△松尾八段: 角、歩
思うように手の伸びない松尾八段が
飛車を7筋に合わせると(52手目△7ニ飛)
羽生三冠は22分の考慮の後、右の金を立て
ジッと玉回りの引き締めました。。
54手目△2四金。
上図での持ち駒
▲羽生三冠: 桂、歩4
△松尾八段: 角、歩
大一番で簡単に引くわけにはいかない
松尾八段が2筋の歩の下に金を繰り上げた
上図の局面で、夜戦に備えて夕食休憩に突入。。
【 夕食のオーダー 】
羽生三冠: エビフライ定食
松尾八段: なし
陣形の差からみても
羽生三冠がガッチリと形勢をリード。。
果たして松尾八段の切り返しはあるのか。。
刻一刻と、クライマックスが近づきます。。
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「冬の本場所」竜王戦へ。。
決勝三番勝負がいよいよ開幕。
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王位戦/第3局・一日目の所管
羽生三冠、藤井四段を語る
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藤井四段激戦譜(炎の七番勝負など)