風格ある圧力。。第59期王位戦・予選/1回戦「小林九段-藤井四段を振り返ろう」
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲小林九段: なし
△藤井四段: なし
昨日行なわれました
第59期王位戦・予選・1回戦の注目カード
「小林健二九段-藤井聡太四段」の一戦は
振り駒の結果、小林九段が先手に。。
小林九段の初手は角道を開く▲7六歩。
対します、藤井四段は2手目に飛車先を突く
△8四歩と返して、対局はスタート。。
早々と居飛車を明示し
戦型の選択権を先手に委ねた神童に対して
今年還暦を迎えたA級通算4期を誇る名棋士
小林九段の作戦が明らかとなる次の3手目は。。
3手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲小林九段: なし
△藤井四段: なし
▲6八銀とし将棋の看板戦法
「矢倉」での勝負を指向しました。。
10手目△7三桂。
上図での持ち駒
▲小林九段: なし
△藤井四段: なし
先手の意向をみて
生粋の居飛車党で矢倉も得意とする藤井四段は
定跡での駒組みを早々と放棄し、右の桂馬を跳躍。。
この手に対し
小林九段が先に居玉を避けます。。
(11手目▲6九玉)
14手目△6五桂。
上図での持ち駒
▲小林九段: なし
△藤井四段: なし
いつになく好戦的な藤井四段は
飛車先を決めてから(12手目△8五歩)
さらに右の桂馬を戦場へと跳ね起点を作ると。。
16手目△8六歩。
上図での持ち駒
▲小林九段: なし
△藤井四段: なし
小林九段が▲6六銀(15手目)と受けた
次の瞬間、強く飛車先の歩を突き合わせ
仕掛けを開始しました。。
小林九段は▲同歩(17手目)と応じて、以下
△同飛~▲8七歩~△7六飛~▲5八金~△8六歩に
▲6八金右~△6四歩~▲8六歩~△同飛~▲8七歩~
下図28手目△8五飛と進行。。
28手目△8五飛。
上図での持ち駒
▲小林九段: なし
△藤井四段: 歩2
藤井四段はカドの無い指し回しで先手を翻弄。。
駒を渡すことなく、あっさり歩得となりました。。
48手目△4三銀。
上図での持ち駒
▲小林九段: なし
△藤井四段: 歩
藤井四段の一連の仕掛けが落ち着くと
小林九段は手損覚悟で玉を再移動させて
「右玉」に構えました。。
対する藤井四段は自陣三段目に銀を並べて
現在流行中の「雁木」調に駒組みを進めます。。
63手目▲5五歩。
上図での持ち駒
▲小林九段: なし
△藤井四段: 歩2
軽快な仕掛けから一転
駒を存分に盛り上げ重厚な模様を張った
藤井四段に対して、右玉の囲いを完成させた
小林九段が5筋から果敢に仕掛けますが。。
64手目△8六歩。
上図での持ち駒
▲小林九段: なし
△藤井四段: 歩
藤井四段は▲同歩とは応じずに
ヒモのついていない先手の角頭目掛けて
歩を突き出し、すぐさま反発に転じました。。
小林九段はこの一手となる▲同歩と応じて、以下
△8七歩~▲7九角~△5五歩~▲7五歩~△8一飛に
▲9七角~△5四銀右~▲7八金をみて、下図74手目
△4五歩とグリグリ進行。。
74手目△4五歩。
上図での持ち駒
▲小林九段: なし
△藤井四段: 歩
淡々と先手陣へと圧力を強める
藤井四段は小林九段に仕掛けを一切許さず
一方的に、いざ開戦を告げました。。
100手目△4七銀成。
▲小林九段: 桂、歩
△藤井四段: 銀、桂、歩4
藤井四段の凄まじい攻勢を前にして
それでも、小林九段は何とか踏ん張り機をみて
反撃を狙いますが、しかし、藤井四段は全く動じず。。
ガッツンガッツン先手陣を崩して行きます。。
【 投了図・120手目△2七飛 】
投了図での持ち駒
▲小林九段: 金2、銀2、歩2
△藤井四段: 桂2、歩4
最後まで食らいついた小林九段ですが
飛車の王手が飛んできた上図の局面をみて
無念の投了を告げました。。
高い完成度と大局観、そして
鋭い終盤の切れ味をみせつけた藤井四段が
風格すら感じさせつつ、2回戦へ駒を進めました。。
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開幕戦は辛勝も
悲願の竜王挑戦へ王手。。
「冬の本場所」竜王戦へ。。
決勝三番勝負がいよいよ開幕。
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王位戦/第3局・一日目の所管
羽生三冠、藤井四段を語る
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藤井四段激戦譜(炎の七番勝負など)