第67期王将戦・二次予選/2回戦「佐藤名人-行方八段を振り返ろう」
昨日、今日と将棋界は公式対局がお休み。。
ということで今回は、今週の注目カードの中から
水曜日(16日)に行なわれた王将戦の二次予選/2回戦
「佐藤天彦名人-行方尚史八段」の模様を振り返ります。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲行方八段: なし
△佐藤名人: なし
先手は行方八段。
その初手は角道を開く▲7六歩から。
対します、佐藤名人は2手目に飛車先を突く
△8四歩と返し、対局はスタート。。
早々と居飛車を明示し
戦型の選択権を先手に委ねた名人に対して
生粋の居飛車党・行方八段の作戦が明らかとなる
注目の3手目は。。
3手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲行方八段: なし
△佐藤名人: なし
代えて▲2六歩なら「角換わり」模様となりますが
行方八段は3手目▲6八銀とし「矢倉」を明示しました。。
16手目△7四歩。
上図での持ち駒
▲行方八段: なし
△佐藤名人: なし
行方八段の作戦は「早囲い」。
早々と飛車先を突いてから玉の囲いを目指すと
佐藤名人は上図で7筋の歩を突き急戦を示唆します。。
次に、行方八段が▲6七金(17手目)と上がると。。
18手目△5五歩。
上図での持ち駒
▲行方八段: なし
△佐藤名人: なし
佐藤名人は中央5筋の歩を突き合わせ
駒組みもそこそこに早くも仕掛けを開始しました。。
25手目▲2四歩。
上図での持ち駒
▲行方八段: 歩
△佐藤名人: 歩
5筋で歩の交換を成立させてから
佐藤名人は再び自陣に手を戻しますが
上図で今度は、いまだ居玉の行方八段が
飛車先の歩を突き合わせ、仕掛けを開始。。
佐藤名人は△同歩(26手目)と応じて、以下
▲同飛に△5ニ飛~▲2八飛~△2三歩~▲6八玉~
下図32手目△5四銀と進行。。
32手目△5四銀。
上図での持ち駒
▲行方八段: 歩2
△佐藤名人: 歩
佐藤名人は素早く起点の5筋から反発。
合わせた飛車に銀を乗せ、ペースを掴みます。。
攻勢強める後手に対して
居玉を避けた行方八段が5筋で対峙した銀の間に
歩を打ち込むと(33手目▲5五歩)。。
34手目△同銀。
上図での持ち駒
▲行方八段: 歩
△佐藤名人: 歩2
佐藤名人はもちろん引かずに
そのまま突き出し銀交換を求めました。。
38手目△4四角。
上図での持ち駒
▲行方八段: 歩
△佐藤名人: 銀、歩2
銀交換成立後
行方八段は手にした銀を敵陣に打ち込み
機敏に桂取りを狙います(37手目▲8ニ銀)。。
桂馬を詰まれた佐藤名人は、慌てることなく
角を一段斜め前に出して3三の地点を空けると
次の▲8一銀成(39手目)をみて桂馬を跳躍。。
(40手目△3三桂)
ひとまず目的を果たした行方八段が
玉を7筋に寄せ、手番を渡した(41手目▲7八玉)
次の瞬間。。
42手目△2五飛。
上図での持ち駒
▲行方八段: 桂、歩
△佐藤名人: 銀、歩2
佐藤名人は跳ねた桂馬の利き先へ
5筋の飛車を移動し、飛車交換を要求しました。。
行方八段はこの要求を受け入れ(43手目▲同飛)
以下、△同桂~▲8ニ成銀~△3一玉~▲8一飛~
△5一金~▲5ニ歩~△4一金~▲9一飛成をみて
下図52手目△2八飛と進行。。
52手目△2八飛。
上図での持ち駒
▲行方八段: 桂、香
△佐藤名人: 銀、歩2
飛車交換成立後
行方八段が先に手にした飛車を敵陣に再投入。
ひと暴れしつつ龍を作りましたが、上図で佐藤名人も
横腹開いた先手玉目掛けて飛車を打ち込み、形を決めます。
65手目▲5五香。
上図での持ち駒
▲行方八段: 歩2
△佐藤名人: 桂、香、歩
いざ、開戦後、先に攻勢に出たのは行方八段。
小駒を巧みに活用しながら後手陣へと迫ります。。
88手目△5一歩。
上図での持ち駒
▲行方八段: 金、歩3
△佐藤名人: 銀、桂
しかし、柔軟な受けを持ち味とする
佐藤名人は丁寧な受けこたえで先手の突破を許さず
小刻みに反撃の目を凝らしつつ、タイミングを計ります。。
104手目△7六金。
上図での持ち駒
▲行方八段: 歩3
△佐藤名人: 桂、歩
双方、総力戦の様相を呈しますが
鉄壁の後手陣に対して横に弱さを露呈した
先手陣を佐藤名人は厳しく切り崩すと、淀みなく
上部を押さえて寄せに出ました。。
【 投了図・112手目△8七香成 】
投了図での持ち駒
▲行方八段: 角、歩3
△佐藤名人: 金、桂、歩2
佐藤名人の鋭い寄せの前に
上図の局面で行方八段、無念の投了。。
自然で攻守のバランスの良い
佐藤名人らしい将棋で実力者をねじ伏せ
あらためて名人の実力と存在感を示しました。
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運命のNHK杯は9月3日
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開幕戦は辛勝も
悲願の竜王挑戦へ王手。。
「冬の本場所」竜王戦へ。。
決勝三番勝負がいよいよ開幕。
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王位戦/第3局・一日目の所管
羽生三冠、藤井四段を語る
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藤井四段激戦譜(炎の七番勝負など)