第7期叡王戦・九段戦/3回「藤井九段-深浦九段を振り返ろう」 | 柔らかい手~個人的将棋ブログ

第7期叡王戦・九段戦/3回「藤井九段-深浦九段を振り返ろう」

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第7期段位別予選対戦表

 

 

今回は昨日行われました

第7期叡王戦・九段戦予選/3回戦の好カード

「藤井猛九段-深浦康市九段」の一戦の模様を

ご紹介させていただきます。。

 

 

 

2手目△3四歩。

 

上図での持ち駒

 

▲深浦九段: なし

△藤井九段: なし

 

本局の先手は深浦九段。

その初手は飛車先を突く▲2六歩から。。

対します、藤井九段は2手目に角道を開く

△3四歩と返し、対局はスタート。。

 

続く3手目に

深浦九段が▲7六歩と角道を開いたのをみて

藤井九段は自らの角道を止め(4手目△4四歩)

代名詞である振り飛車投入を示唆すると。。

 

 

 

6手目△4二飛。

 

上図での持ち駒

 

▲深浦九段: なし

△藤井九段: なし

 

次の▲4八銀(5手目)をみて

藤井九段は飛車に手をかけ、4筋へと振り

振り飛車の王道「四間飛車」を投入しました。。

 

 

 

18手目△3二銀。

 

上図での持ち駒

 

▲深浦九段: なし

△藤井九段: なし

 

互いに飛車のポジションが決まり

戦型が対抗形となると、深浦九段はセオリー通りに

居玉を解除して玉の囲いを目指します。。

 

一方、藤井九段は居玉のままで

自陣の駒組みを進める、自身の名のついた

現代将棋の金字塔「藤井システム」を発動。。

 

しかし、上図から次に

深浦九段が飛車のコビンを開いたのをみて。。

(19手目▲3六歩)

 

 

20手目△6二玉。

 

上図での持ち駒

 

▲深浦九段: なし

△藤井九段: なし

 

システムに組み込まれた代表的な手順通りに

先手の急戦策にはすみやかに居玉を解除しました。。

 

この手に対して

深浦九段はこれも対藤井システムでよく見る形の

角を天王山・5筋の位へ繰り出し(21手目▲5五角)

後手の駒組みをけん制します。。

 

 

 

43手目▲7八金。

 

上図での持ち駒

 

▲深浦九段: なし

△藤井九段: なし

 

盤上はじっくりとした持久戦模様の進行となり

藤井九段が振り飛車の相棒「美濃囲い」を完成すると

続けて深浦九段はより堅く、「銀冠」を組み上げました。。

 

駒組みの飽和点が近づき、開戦への機運が高まる中

上図から次に、藤井九段は5筋の歩を突くと(44手目△5四歩)

次に、深浦九段が飛車が飛車を4筋に合わせたのをみて。。

(45手目▲4八飛)

 

 

 

46手目△2四歩。

 

上図での持ち駒

 

▲深浦九段: なし

△藤井九段: なし

 

先手の飛車がどいて厚みが消えた

2筋の歩を突き合わせ、仕掛けを開始します。。

 

深浦九段は▲同歩(47手目)と応じて、以下

△2二飛~▲4六歩~△2四飛~▲2七歩~△4六歩~

▲同銀~△4七歩~▲2八飛~△2三飛に▲4五歩をみて

△2四角~▲3七角~下図60手目△3五歩と進行。。

 

 

 

60手目△3五歩。

 

上図での持ち駒

 

▲深浦九段: なし

△藤井九段: 歩

 

藤井九段は敵陣4筋に一発利かしを入れてから

飛車とスイッチする形で躍り出た角を攻撃の起点に据え

滑らかに主導権を握り、3筋からの捌きを狙います。。

 

 

 

68手目△3九銀。

 

上図での持ち駒

 

▲深浦九段: 銀

△藤井九段: 歩2

 

直後に銀交換が成立すると

藤井九段は一仕事した角を自陣へ引き下げ

代わりに飛車を攻撃の拠点に据えてから、上図の局面で

手にした銀を敵陣の急所へ打ち込み、厳しく追撃開始。。

 

大駒をタダで素抜かれるわけにはいかない

深浦九段が飛車を1筋へ逃がすと(69手目▲1八飛)。。

 

 

 

70手目△2七飛成。

 

上図での持ち駒

 

▲深浦九段: 銀

△藤井九段: 歩3

 

藤井九段はスカッと爽快に

飛車を走らせ敵陣突破に成功。。

駒音高く、終盤戦の幕を開きます。。

 

 

 

91手目▲8五桂。

 

上図での持ち駒

 

▲深浦九段: 角、銀、歩

△藤井九段: 歩2

 

ここまで見せ場のなかった深浦九段は

攻め合いに命運をかけ、上図で桂馬を戦場に設置。。

上空からの後手陣攻略を目指しますが。。

 

 

 

94手目△7九角成。

 

上図での持ち駒

 

▲深浦九段: 角、銀、歩2

△藤井九段: 歩

 

将棋界一、「美濃囲い」の奥義を知り尽くす

藤井九段は動じることなく、角を王手で成り込み

一点の迷いなく、ガジガジ流の寄せに入ります。。

 

「藤井九段-深浦九段」の棋譜はこちら

 

 

【 投了図・108手目△6八「と」金 】

 

 

上図での持ち駒

 

▲深浦九段: 銀、香、歩

△藤井九段: 歩

 

藤井九段の手厚い寄せを前にして

粘りを信条とする深浦九段も為す術なく

上図の局面で無念の投了を告げました。。

 

思うがままの模様を描き出し

会心の勝利を飾った藤井九段が気持ちよく

本戦出場を懸けた決勝戦へと駒を進めました。。