康光流vs若き精鋭。。第15回朝日杯・二次予選/決勝「佐藤九段-梶浦七段を振り返ろう」
今回は昨日行われました
第15回朝日杯の二次予選/決勝で実現した
注目の「佐藤康光九段-梶浦宏孝七段」の模様を
振り返らせていただきます。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲梶浦七段: なし
△佐藤九段: なし
本局の先手は梶浦七段。
その初手は飛車先を突く▲2六歩から。。
対します、佐藤九段も2手目に同じく飛車先を突く
△8四歩と返して、対局はスタート。。
9手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲梶浦七段: なし
△佐藤九段: なし
互いに居飛車を明示する出だしから
いざ、「角換わり」を目指す定跡手順の進行となり
迎えた上図の局面で、梶浦七段は銀を6筋に繰り上げ
後手からの角交換、あるいは角交換拒否に備えます。。
この手をみて、佐藤九段は。。
10手目△3三角。
上図での持ち駒
▲梶浦七段: なし
△佐藤九段: なし
角を換えるでも、交換を拒むでもなく
自らの角を3三の地点へヒョイと繰り上げ
先手からの角交換を注文しました。。
この趣向の一手を前にして
今期も竜王戦トーナメントでベスト4進出を果たすなど
その才能を高く評価される26歳の精鋭・梶浦九段は。。
11手目▲3三角成。
上図での持ち駒
▲梶浦七段: 角
△佐藤九段: なし
迷わずズバリと角交換を敢行。。
結果的に手損のない「ノーマル角換わり」となりました。
18手目△2二飛。
上図での持ち駒
▲梶浦七段: 角
△佐藤九段: 角
角交換成立後
本局では銀ではなく、金で3三の地点をケアしてから
佐藤九段は飛車を2筋へと振り、研ぎ澄まされた異彩を放つ
「康光流ダイレクト向かい飛車」を投入します。。
33手目▲5六角。
上図での持ち駒
▲梶浦七段: なし
△佐藤九段: 角
角を捌いて飛車のポジションも決まると
両者は息を合わせて自陣の駒組みを進めますが
上図の局面で、梶浦七段は角を5筋の戦場へ投入し
後手の左右の桂頭を標的に機敏に形を決めると。。
49手目▲7五歩。
上図での持ち駒
▲梶浦七段: 歩
△佐藤九段: 角
ケレン味なく角の利きを活かながら
左の桂馬の頭上を厳しく押さえ込んだのに続けて
梶浦七段は右の桂馬の頭上でも歩を突き合わせ
迫力も十分に、トントン拍子で仕掛けます。。
さらに。。
57手目▲7四歩。
上図での持ち駒
▲梶浦七段: なし
△佐藤九段: 角、歩3
佐藤九段が△同歩で桂頭の歩を払うと
梶浦七段は8筋でも歩交換を成立させてから
後手の銀を吊り出し、ヒモの切れた桂馬の頭上へ
激痛の歩を突き立て、一方的に開戦を告げました。。
佐藤九段は△5四角(58手目)と切り返しますが
以下、▲7三歩成~△同金~▲3三歩成~△同金~▲6五桂~
△同銀~▲同歩~△7四桂に▲8五銀~△同銀~▲同角をみて
下図70手目△3六歩と進行。。
70手目▲3六歩。
上図での持ち駒
▲梶浦七段: 銀2、桂
△佐藤九段: 銀、歩4
先手に面白いように駒を捌かれ防戦一方だった
佐藤九段はようやく手番の回った上図の局面で
先手の桂頭へお返しの歩を突き立て反撃を開始。。
ここで一先ず、攻守交替かと思われましたが。。
71手目▲7四角。
上図での持ち駒
▲梶浦七段: 銀2、桂2
△佐藤九段: 銀、歩4
梶浦七段は、受けには回らず
桂馬を角で食いちぎり、一気呵成に
終盤戦の幕を開きました。。
87手目▲7七同桂。
上図での持ち駒
▲梶浦七段: 銀2、桂、歩3
△佐藤九段: 銀、桂、歩2
こうなると引くに引けなくなった
佐藤九段は猛攻で先手陣へと襲い掛かりますが
梶浦七段は冷静に、後手の攻め手に乗りながら
二枚桂の好形を築き、力を溜めます。。
苦しくなった佐藤九段が、上図から次に
8筋の歩を成り込み、来るなら来いと首を差し出すと。。
(88手目△8七歩成)
89手目▲7七同桂。
上図での持ち駒
▲梶浦七段: 金、銀2、桂、歩3
△佐藤九段: 銀、桂、歩2
梶浦七段は桂馬を華麗に急所へ跳躍。。
金を捕獲し王手を決め、闘将を仕留めに行きます。。
【 投了図・131手目▲7三飛成 】
投了図での持ち駒
▲梶浦七段: 金、桂、歩4
△佐藤九段: 金2、銀2、桂、歩2
佐藤九段は必死に食らいつきますが
最後の意地の反撃も形作りが精一杯。。
上図の局面で
万策尽き果て、無念の投了を告げました。。
今期猛威を振るう康光流を序盤から圧倒し
見事な完勝を飾った梶浦七段がその才能をみせつけ
輝きとともに本戦出場を決めました。。