連覇へ磐石。。第29期銀河戦・本戦/1回戦「藤井四冠-斎藤四段を振り返ろう」
今回は11月25日に放送されました
第29期銀河戦決勝トーナメント/1回戦
「藤井聡太四冠-斎藤明日斗四段」の模様を
ご紹介させていただきます。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲藤井四冠: なし
△斎藤四段: なし
本局の先手は藤井四冠。
その初手は飛車先を突く▲2六歩から。。
対します、斎藤四段も2手目に同じく飛車先を突く
△8四歩と返して、対局はスタートに。。
9手目▲8八銀。
上図での持ち駒
▲藤井四冠: なし
△斎藤四段: なし
互いに居飛車を明示する出だしから
「角換わり」を目指す定跡手順の進行となり
迎えた上図の局面で、藤井四冠は銀を8筋に開き
後手からの角交換を要求しました。。
この手に対し、斎藤八段は。。
10手目△3三角。
上図での持ち駒
▲藤井四冠: なし
△斎藤四段: なし
くしくも、昨日ご紹介させていただきました
「佐藤康光九段-梶浦宏孝七段」と似た形で
斎藤四段は角を換えるでも交換を拒むでもなく
3三の地点に繰り上げ、先手の注文を拒みます。。
11手目▲3三角成。
上図での持ち駒
▲藤井四冠: 角
△斎藤四段: なし
ならば、と藤井四冠は自ら角交換を敢行。。
手損のない「ノーマル角換わり」となりました。。
25手目▲5六銀。
上図での持ち駒
▲藤井四冠: 角
△斎藤四段: 角
角交換成立後
両者は居玉のまま銀を戦場へと繰り出し
「早繰り銀」に形を決めた後手に対して(24手目△6四銀)
藤井四冠は中央に手厚い「腰掛銀」に形を決めます。。
互いの作戦が明示された上図から
次に、手番の回った斎藤四段は。。
26手目▲7五歩。
上図での持ち駒
▲藤井四冠: 角
△斎藤四段: 角
7筋の歩を突き合わせ
爽やかに仕掛けを決断しました。。
29手目▲2四歩。
上図での持ち駒
▲藤井四冠: 角
△斎藤四段: 角
しかし、7筋で歩交換が成立した直後
藤井四冠は前に出た後手の銀をそのままに
自らの飛車先2筋の歩を突き合わせ、すぐに反発。。
盤上に緊張が走りますが。。
32手目△8六歩。
上図での持ち駒
▲藤井四冠: 角
△斎藤四段: 角、歩2
斎藤四段も怯むことなく
藤井四冠の継歩を手抜いて(31手目▲2五歩)
自らの飛車先8筋の歩を突き合わせ捌きに出ました。。
藤井四冠はすぐに▲同歩(33手目)と応じて、以下
△同銀~▲同銀~△同飛に▲8七歩~△8二飛をみて
▲2四歩~△2七歩~▲同飛~△5四角~▲2八飛~
△2七歩~▲4八飛~下図46手目▲8七角成と進行。。
46手目△8七角成。
上図での持ち駒
▲藤井四冠: 角、銀、歩2
△斎藤四段: 銀、歩2
充実の神童を向こうに回し
斎藤四段は攻防の主導権を握りながら模様を動かし
飛車先へ角の成り込みに成功、堂々と押し込みます。。
が、しかし。。
53手目▲5五角。
上図での持ち駒
▲藤井四冠: 角、歩2
△斎藤四段: 金、銀、歩3
藤井四冠は慌てず騒がず
角と成り代わった後手の飛車を追い払ってから
天王山・5筋の位へ手持ちの角を見晴らしよく投入。。
攻守ともどもきっちりカバーし切り返すと。。
61手目▲5五桂。
上図での持ち駒
▲藤井四冠: 角、香、歩2
△斎藤四段: 金、歩3
成り込んだ角で後手陣を乱してから
文字通りの天王山へ桂馬を打ち込み形を決め
「かかって来いよ」と後手に手番を渡しました。。
先手の余裕の手渡しに対し、斎藤四段は。。
62手目△6八金。
上図での持ち駒
▲藤井四冠: 角、香、歩2
△斎藤四段: 歩2
ここも引かずにガツンと金を投入。。
渾身の力をこめて藤井玉を仕留めに行きます。。
【 投了図・83手目▲7七香 】
投了図での持ち駒
▲藤井四冠: 金、桂、歩2
△斎藤四段: 銀、歩
斎藤四段の寄せは迫力満点でしたが
読み切りの藤井四冠は際どくもどこか涼しげに凌ぎ切ると
角の頭上へ香車を突き出し攻守を入れ替えた上図の局面で
斎藤四段は力尽き果て、無念の投了を告げました。。
さすがの完勝を飾った藤井四冠は力強く
銀河戦連覇へ視界も良好、2回戦進出を決めました。。