盤上の流儀。。第71回NHK杯/3回戦「郷田九段-松尾八段を振り返ろう」
今回は昨日放送されました
第71回NHK杯将棋トーナメント/3回戦の好カード
「郷田真隆九段-松尾歩八段」の一戦の模様を
ご紹介させていただきます。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲松尾八段: なし
△郷田九段: なし
本局の先手は松尾八段。
その初手は飛車先を突く▲2六歩から。。
対します、郷田九段も2手目に同じく飛車先を突く
△8四歩と返し、対局はスタートとなりました。。
4手目△8五歩。
上図での持ち駒
▲松尾八段: なし
△郷田九段: なし
次に両者は息を合わせて飛車先を決め
戦型は淀みなく、「相掛かり」に決定。。
10手目△1四歩。
上図での持ち駒
▲松尾八段: なし
△郷田九段: なし
互いに角頭を金で受け、飛車の横に銀を立てる
おなじみの同形模様の出だしから、さらに息を合わせて
両者は角側の端歩を突き合い、迎えた上図から次に
松尾八段が3筋の歩を突くと(11手目▲3六歩)。。
12手目△8六歩。
上図での持ち駒
▲松尾八段: なし
△郷田九段: なし
郷田九段はここで同形模様に別れを告げ
自らの飛車先8筋の歩を突き合わせました。。
17手目▲3七桂。
上図での持ち駒
▲松尾八段: 歩
△郷田九段: 歩
以下、▲同歩~△同飛の進行で歩交換が成立。。
松尾八段は突進してきた後手の飛車先を受ける前に
玉を立て「中住まい」に構えました(15手目▲5八玉)。。
この手をみて
郷田九段も同じく玉を立て(16手目△5二玉)
「相中住まい」とすると、松尾八段は事前に歩を突いた
3筋に桂馬を跳ねて力を溜めます。。
独自の構想で駒組みを薦める先手に対し
郷田九段は飛車を3筋へと回し(18手目△3六飛)
貴重な一歩を補充しつつ、けん制しますが。。
21手目▲3四歩。
上図での持ち駒
▲松尾八段: 歩
△郷田九段: 歩2
松尾八段は構うことなくわが道を行き
角道を開いてから自らの飛車先の歩を突き合わせます。。
25手目△2七歩。
上図での持ち駒
▲松尾八段: 歩3
△郷田九段: 歩2
同じ手順で2筋でも歩交換が成立すると
松尾八段も浮いた飛車を横へとスライドさせ
後手の桂頭に重石を置きます。。
(23手目▲7四同飛)
この手に対し、郷田九段は
飛車がどいた2筋へ嫌らしく歩を垂らすと
松尾八段が低く受けたのをみて(26手目△2九歩)
飛車を3筋に合わせて拠点としました。。
ここで手番の回った松尾八段は、次に。。
31手目▲5五角。
上図での持ち駒
▲松尾八段: 歩
△郷田九段: 歩2
同じく飛車のいない敵陣8筋へ歩を垂らすと
郷田九段が金を寄せて受けたのをみて(29手目▲7一金)
天王山・5筋の位へ爽やかに、八方睨みの角を迫り出し
開戦への機運が一気に高まります。。
38手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲松尾八段: 歩2
△郷田九段: 歩
先手の大駒の圧力を前にして
郷田九段は玉自らを守備に参加させて突破を防ぐと
上図で角道を開け、反撃の手はずを整えました。。
すると、次の瞬間
39手目▲4五桂。
上図での持ち駒
▲松尾八段: 歩2
△郷田九段: 歩
松尾八段は狙いの桂馬を戦場へと跳躍。。
急所の5三の地点を捉え、先に仕掛けを開始しました。。
郷田九段は△4二銀(40手目)と受けて、以下
▲3七角~△3六飛~▲9七香~△5二玉~▲4八玉~
△4一玉~▲7四歩をみて、下図48手目△3七飛成~
48手目△3七飛成。
上図での持ち駒
▲松尾八段: 歩2
△郷田九段: 角、歩
▲同銀に△6五桂~▲8五飛をみて
下図52手目△9八角と激しく進行。。
52手目△9八角。
上図での持ち駒
▲松尾八段: 飛、歩2
△郷田九段: 歩
桂馬の拠点を作ったところで
受けに回った松尾八段に対し、郷田九段は強く
攻撃のアクセルを踏み込み、敵陣へ踏み込みます。。
が、しかし。。
67手目▲2一飛成。
上図での持ち駒
▲松尾八段: 金、桂、歩
△郷田九段: 金、歩2
後手の攻めは想定通りとばかりに
松尾八段は慌てず騒がず、二枚の馬を押さえ込むと
二枚の飛車で後手玉を挟み込む厳しい切り返しをみせ
鮮やかに、形勢の針を引き寄せます。。
【 投了図・85手目▲2一龍 】
投了図での持ち駒
▲松尾八段: 金2、銀、桂、歩
△郷田九段: 桂、歩2
郷田九段は手厚い受けで抵抗しますが
盤上を支配する松尾八段の前に粘りは発揮できず。。
上図の局面をみて、無念の投了を告げました。。
構想通りに見事な快勝を飾った
松尾八段が準々決勝へと駒を進めました。。
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