圧倒的な切れ味。。第35期竜王戦1組/1回戦「永瀬王座-糸谷八段を振り返ろう」
今回は先週の金曜日(10日)に行われました
第35期竜王戦ランキング戦1組/1回戦の好カード
注目の「永瀬拓矢王座-糸谷哲郎八段」の模様を
振り返らせていただきます。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: なし
△永瀬王座: なし
本局の先手は糸谷八段。
その初手は飛車先を突く▲2六歩から。。
対します、永瀬王座も2手目に同じく飛車先を突く
△8四歩と返して、対局はスタート。。
9手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: なし
△永瀬王座: なし
互いに居飛車を明示する出だしから
いざ、「角換わり」を目指す定跡手順の進行となり
迎えた上図の局面で、糸谷八段は銀を6筋に繰り上げ
後手からの角交換、あるいは角交換拒否に備えます。。
この手に対し、永瀬王座は。。
10手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: なし
△永瀬王座: 角
ズバリと角交換を敢行。。
手損のない「ノーマル角換わり」となりました。。
21手目▲9五歩。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: 角
△永瀬王座: 角
角交換成立後
糸谷八段は右銀の態度を保留したまま
9筋の端歩を突き越す趣向をみせます。。
32手目△6二金。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: 角
△永瀬王座: 角
一方の永瀬王座は動じることなく淡々と
自陣の駒組みを進め、上図で現代の主流である
「△4二玉+6二金+8一飛」型を完成しました。。
37手目▲5六歩。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: 角
△永瀬王座: 角
遅れて後手と対称を為す
「▲6八玉+4八金+2九飛」型に自陣を組み上げた
糸谷八段は、後手が「腰掛銀」に形を決めたのをみて
追随せずに5筋の歩を突き出すと。。
39手目▲5九飛。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: 角
△永瀬王座: 角
次に、永瀬王座が玉を引き下げ(38手目△3一玉)
囲いの準備に入ったのをみて、糸谷八段は飛車に手をかけ
歩を突いた5筋に合わせ、中央に拠点を築きました。。
仕掛けの体勢に入った先手に対しても
永瀬王座はあくまでもマイペースを貫き、次に堂々と
玉の「入城」を果たすと(40手目△2二玉)。。
41手目▲5五歩。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: 角
△永瀬王座: 角
こちらも初志貫徹とばかりに
糸谷八段はそのまま5筋の歩を突き合わせ
ケレン味なく、先に仕掛けを開始しました。。
が、しかし。。
44手目△9四歩。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: 角
△永瀬王座: 角
永瀬王座が当たりの銀を自陣4筋に引き下げると
糸谷八段は追撃せずに自陣へ手を戻し(43手目▲7九玉)
後手と歩調を合わせて玉の囲いを目指しますが、次の瞬間
永瀬王座は許さず、9筋の端から反撃を開始しました。。
糸谷八段は▲同歩(45手目)と応じて、以下
△7五歩~▲同歩~△6五桂~▲8八銀に△8六歩~
▲同歩~△同飛をみて、▲5一角に△9四香~▲同香~
△9五角~▲5八飛~下図58手目△7七歩と進行。。
58手目△7七歩。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: 香、歩3
△永瀬王座: 歩
永瀬王座はいきなりエンジン全開。。
鮮やかに手を繋ぎ、先手陣進行を目指すと
糸谷八段の角打ちの切り返しを、さらにその上を行く
角の合わせで切り返し、一方的に攻防を支配します。。
84手目△7七歩成。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: 角、桂、歩3
△永瀬王座: 金2、銀、桂、歩
一瞬の隙を突かれた格好で防戦一方に追い込まれた
糸谷八段は機をみて反撃に転じ、形勢逆転を狙いますが
しかし、永瀬王座は途切れることのない強烈な連打で迫り
圧倒的な迫力で一気呵成の寄せへと入ります。。
【 投了図・94手目△2八金 】
投了図での持ち駒
▲糸谷八段: 角、金、桂、歩4
△永瀬王座: 飛、歩
永瀬王座の厳しい寄せを前にして
さすがの糸谷八段も為す術なく、上図の局面をみて
精根尽き果て、無念の投了を告げました。。
藤井聡太四冠、渡辺明名人、豊島将之九段とともに
現代将棋界が誇る「BIG4」に名を連ねる永瀬王座は
西の怪童相手に、その実力をまざまざと見せつけて
堂々の2回戦進出を決めました。。