ここで一矢。。第29期銀河戦/準決勝「藤井四冠-渡辺名人を振り返ろう」
今回は先週の火曜日(14日)に放送されました
佳境を迎える第29期銀河戦決勝トーナメントの準決勝
注目の「藤井聡太四冠-渡辺明名人」の一戦の模様を
振り返らせていただきます。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲藤井四冠: なし
△渡辺名人: なし
本局の先手は藤井四冠。
その初手は飛車先を突く▲2六歩から。
対します、渡辺名人も2手目に同じく飛車先を突く
△8四歩と返し、対局はスタート。。
9手目▲8八銀。
上図での持ち駒
▲藤井四冠: なし
△渡辺名人: なし
互いに居飛車を明示する出だしから
いざ、「角換わり」を目指す定跡手順の進行となり
迎えた上図の局面で、藤井四冠は銀を8筋に開き
名人からの角交換を注文しました。。
この手に対し、渡辺名人は。。
10手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲藤井四冠: なし
△渡辺名人: 角
ズバリと角交換を敢行。。
手損のない正調の「角換わり」となりました。。
32手目△6二金。
上図での持ち駒
▲藤井四冠: 角
△渡辺名人: 角
角交換成立後、両者は前例を踏襲しながら指し進み
名人は流行形の「△4二玉+6二金+8一飛」型を完成すると
次に、藤井四冠が9筋を突きこしたのをみて(33手目▲9五歩)。。
34手目△6四銀。
上図での持ち駒
▲藤井四冠: 角
△渡辺名人: 角
銀を5筋の戦場に構え
一切の淀みなく、「腰掛銀」に形を決めます。。
42手目△4四歩。
上図での持ち駒
▲藤井四冠: 角
△渡辺名人: 角
一方の藤井四冠が銀を自陣に留め待機策を取ると
渡辺名人はしばし間合いを計った後、上図の局面で
4筋の歩を突き合わせ、仕掛けを開始しました。。
藤井四冠は▲同歩(43手目)と応じて、以下
△同銀~▲5八玉~3三銀~▲4五歩~△8二飛~
▲6八角~△6五銀~▲2四歩~△同歩~▲3五歩~
△同歩~▲同角~下図56手目△6三銀と進行。。
56手目△6三金。
上図での持ち駒
▲藤井四冠: 歩
△渡辺名人: 角、歩3
しかし、すぐの開戦には至らず。。
4筋での歩交換成立直後に受けに回った名人に対し
藤井四冠は手持ちの角を盤上へ投入し反撃を開始。。
渡辺名人は手に乗り自陣を引き締めます。。
74手目△8九歩成。
上図での持ち駒
▲藤井四冠: 歩2
△渡辺名人: 角、歩
その後は激しい中盤の主導権争いが続きますが
渡辺名人は機微に8筋で敵陣への歩の成り込みに成功。。
藤井四冠がこの歩を飛車で払うと(75手目▲8九同飛)。。
76手目△3六角。
上図での持ち駒
▲藤井四冠: 歩3
△渡辺名人: 歩
渡辺名人は好所へ手持ちの角を投入。。
王手で手番を稼ぎながら、上手く拠点を作りました。。
90手目△4四馬。
上図での持ち駒
▲藤井四冠: 歩4
△渡辺名人: 角、歩
直後に馬を素抜かれた藤井四冠は
猛烈な反撃に転じ、攻め合いに勝負をかけますが
渡辺名人は馬を引きつけ、攻守の急所に利かせて
神童につけ入る隙を与えず、形勢を引き寄せます。。
【 投了図・106手目△4七角 】
投了図での持ち駒
▲藤井四冠: 角、金、銀、歩
△渡辺名人: 歩4
磐石の渡辺名人は上部から先手玉を押さえ込み
分厚い攻撃の前に藤井四冠は為す術なく、上図の局面で
万策尽き果て無念の投了を告げました。。
この瞬間、藤井四冠の連覇は叶わず敗退が決定。。
対藤井四冠の連敗を快勝で「5」で止めた渡辺名人が
菅井竜也八段との決勝戦へと駒を進めました。。