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さすがＡ級の大激闘。。第７期叡王戦・八段戦/準決勝「山崎八段－菅井八段を振り返ろう」
今回は一昨日に行われました
第７期叡王戦八段戦予選/準決勝の好カード
「山崎隆之八段－菅井竜也八段」の模様を
ご紹介させていただきます。。
２手目△３四歩。
上図での持ち駒
▲菅井八段： なし
△山崎八段： なし
本局の先手は菅井八段。
その初手でいきなり中央５筋の歩を突き
代名詞である振り飛車投入を示唆しました。。
対します、力戦派の英雄
山崎八段は２手目△３四歩と角道を開き
含みを持たせた対局はスタート。。
９手目▲３八玉。
上図での持ち駒
▲菅井八段： なし
△山崎八段： なし
続く３手目に、菅井八段は飛車に手をかけると
歩を突いた５筋へと振り、得意の「中飛車」を投入。。
飛車のポジションが決まると、次に角道を開けてから
居玉を解除し、玉の囲いを目指します。。
自然な駒組みを進める先手に対して
飛車先の態度を保留する山崎八段は、上図から次に
１筋の端歩を突き、ひとつ間合いを計ると（１０手目△１四歩）
菅井八段が受けて返したのをみて（１１手目▲１六歩）。。
１２手目△５二飛。
上図での持ち駒
▲菅井八段： なし
△山崎八段： なし
山崎八段も同じく飛車に手をかけ５筋へと振り
「中飛車」を投入、戦型は意表の「相振り飛車」となりました。
この手は想定の範囲内だったか。。
菅井八段が構わず玉を寄せると（１３手目▲２八玉）
山崎八段が角を４筋の戦場へと迫り出すと。。
（１４手目△４四角）
１５手目▲４四同角。
上図での持ち駒
▲菅井八段： 角
△山崎八段： なし
菅井八段はすかさず角交換を敢行。。
大駒が捌かれたところで慌しかった盤上は
落ち着きを取り戻し、両者はあらためて息を合わせて
自陣の駒組みに取り掛かります。。
３２手目△６四角。
上図での持ち駒
▲菅井八段： なし
△山崎八段： なし
４筋の銀対抗形に続いて、上図の局面では
６筋で珍しい角の対抗形が盤上に描き出されました。。
互いの飛車が居を構え
天王山・５筋の位を中心に開戦への緊張が高まる中
手番の回った菅井八段は冷静に、２筋の歩を突き出し
「美濃囲い」から「銀冠」へのリフォームを狙います。。
すると、次の瞬間
３４手目△３五銀左。
上図での持ち駒
▲菅井八段： なし
△山崎八段： なし
山崎八段は戦場に並べた二枚の銀のうち
左側の銀をぶつけて、銀交換を求めました。。
４６手目△２一飛。
上図での持ち駒
▲菅井八段： なし
△山崎八段： なし
しかし、銀交換成立後もいざ開戦とはならず。。
互いに手にした銀をすぐさま争点に再投入すると
菅井八段はソツなく「銀冠」を完成させます。。
一方、桂馬を跳ねて力を溜めた
山崎八段が上図で飛車を２筋へ振り直すと。。
４７手目▲５五歩。
上図での持ち駒
▲菅井八段： なし
△山崎八段： なし
菅井八段は間髪入れずに
後手の飛車がどいた争点の５筋で歩を突き合わせ
このタイミングで見切り良く、仕掛けを開始しました。。
山崎八段は△同歩（４８手目）と応じて
以下、▲同銀～△同銀～▲同角～△同角～▲同飛に
△４四角～▲５四飛～△２五歩～▲同歩～△５三銀をみて
▲４四飛～△同銀～▲８六角～下図６２手目△８八飛と進行。。
６２手目△８八飛。
上図での持ち駒
▲菅井八段： 角、銀、歩２
△山崎八段： 歩
中央での大捌きの後
狙いの角打ちで切り返した山崎八段に対して
菅井八段は「遠見の角」から怒りの反撃に転じますが
山崎八段は構わず飛車を振り下ろし、いざ開戦へ。。
７４手目△２二香。
上図での持ち駒
▲菅井八段： 角、歩
△山崎八段： 桂、歩２
先行したのは菅井八段。
角のライン上で駒を捌いて後手陣を乱してから
２筋に銀を積み上げ、自玉の頭上を厚くしながら
後手陣攻略を目指します。。
対する山崎八段は飛車・香の二段ロケットで迎撃。。
互いに一歩も引かずにスリリングな終盤戦へと突入します。。
１０５手目△２五桂。
上図での持ち駒
▲菅井八段： 歩
△山崎八段： 銀、桂、歩２
激しい１筋の攻防戦を制した
菅井八段がなおも執拗に２筋から迫り
長く長く攻防の主導権を握りますが。。
１３２手目△１五桂。
上図での持ち駒
▲菅井八段： 桂、歩２
△山崎八段： 角、銀２、香
先手の途切れることのない猛攻を
根気良く丁寧に凌ぎ続けた山崎八段は
ついに、決め手を与えることなく渾身の反撃開始。。
逆に１筋の主導権を握り、先手玉へと迫ります。。
【 投了図・１４４手目△３八香 】
投了図での持ち駒
▲菅井八段： 銀、桂２、歩３
△山崎八段： 金、銀、歩
逆転を許した菅井八段はそれでも２筋から踏み込み
攻め合いに勝負をかけますが、最後は山崎八段がいち早く
先手玉を頭上から押しつぶし、菅井八段は上図の局面をみて
万策尽き果て、無念の投了を告げました。。
ともにＡ級を張る関西将棋の後輩との激戦を制した
山崎八段は続く決勝戦も制し、見事本戦出場を決めました。