見事な駒捌き。。第35期竜王戦2組/1回戦「藤井九段-広瀬八段を振り返ろう」
今回は昨日行われた対局の中から
第35期竜王戦ランキング戦2組/1回戦の好カード
「藤井猛九段-広瀬章人八段」の一戦の模様を
振り返らせていただきます。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲藤井九段: なし
△広瀬八段: なし
本局の先手は振り飛車党のカリスマ・藤井九段。
その初手でいきなり飛車に手をかけると、7筋へと振り
代名詞の「四間」ではなく「三間飛車」を採用しました。。
対します、広瀬八段は2手目に
飛車先を突く△8四歩と返し、こちらは居飛車を明示。。
互いのポリシーを盤上に反映させ、対局はスタート。。
19手目▲3八銀。
上図での持ち駒
▲藤井九段: なし
△広瀬八段: なし
出だしで戦型が「対抗形」に決まると
両者は息を合わせて居玉を解除し、玉の囲いを目指し
上図で藤井九段は振り飛車の相棒で骨の髄まで知り尽くす
おなじみの「美濃囲い」を完成させました。。
28手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲藤井九段: なし
△広瀬八段: 角
一方、ベーシックな「舟囲い」から駒を盛り上げた
広瀬八段は上図の局面で、ズバリと角交換を敢行。。
駒組みの負担になりがちな角を捌きました。。
43手目▲3七桂。
上図での持ち駒
▲藤井九段: 角
△広瀬八段: 角
角交換成立後も入念な駒組みは続き
藤井九段は「銀冠」への組み換えを目指しますが
上図から次に、広瀬八段も桂馬を跳ねたのをみて。。
(44手目△3三桂)
45手目▲7五歩。
上図での持ち駒
▲藤井九段: 角
△広瀬八段: 角
藤井九段は7筋の歩を突き合わせ
このタイミングでの仕掛けを決断しました。。
48手目▲5五歩。
上図での持ち駒
▲藤井九段: 角
△広瀬八段: 歩
すぐに△7五同歩(46手目)と応じて広瀬八段は
藤井九段が続けて5筋の歩を突き合わせたのをみて
手持ちの角を9筋の端へ打ち込み切切り返します。。
藤井九段は構わず5筋の歩を取り込み(49手目▲5四歩)
以下、△8六歩~▲5五銀~△8七歩成~▲7四歩~△同銀に
▲5八飛~△6三銀~▲4五桂~△同桂~▲同歩をみて
△7七「と」金~下図61手目▲4四歩と進行。。
61手目▲4四歩。
上図での持ち駒
▲藤井九段: 角、桂
△広瀬八段: 桂、歩3
藤井九段は「高美濃」の堅陣を頼りに
後手の飛車・角+「と」金の攻めを受けることなく
中央から畳み掛け、強引に敵陣突破を狙います。。
78手目△5七「と」金。
上図での持ち駒
▲藤井九段: 金
△広瀬八段: 桂、歩6
そのまま寄せに入った藤井九段に対して
広瀬八段は二枚桂の受けで自陣を補強してから
ついに飛車の敵陣突破を達成、角筋も気持ちよく通り
「と」金と絡めて反撃の寄せに出ました。。
盤上が風雲急を告げる上図から次に
藤井九段は馬で銀を捕獲し(79手目▲5二馬)
「かかって来い!」と格好良く、後手に手番を渡しますが。。
【 投了図・94手目△4八歩成 】
投了図での持ち駒
▲藤井九段: 金、銀、桂2
△広瀬八段: 飛、金、歩6
ここまで力を溜めた広瀬八段は攻守に躍動。。
圧倒的な駒捌きで先手玉を追い込み、上図の局面をみて
藤井九段は万策尽き果て、無念の投了を告げました。。