A級へ風雲急。。第80期B級1組順位戦/11回戦「横山七段-佐々木七段を振り返ろう」
昨日行われました「鬼の棲みか」
第80期B級1組順位戦/11回戦・一斉対局の中から
今回は「横山泰明七段-佐々木勇気七段」の模様を
振り返らせていただきます。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲横山七段: なし
△佐々木七段: なし
本局の先手は横山七段。
その初手は飛車先を突く▲2六歩から。。
対します、佐々木七段も2手目に同じく飛車先を突く
△8四歩と返し、ともに居飛車を明示して対局はスタート。。
4手目△8五歩。
上図での持ち駒
▲横山七段: なし
△佐々木七段: なし
次に両者は息を合わせて飛車先を決め
戦型は現代将棋の主役「相掛かり」となりました。。
10手目△1四歩。
上図での持ち駒
▲横山七段: なし
△佐々木七段: なし
互いに角頭を金で受け、飛車の横腹へ銀を立てる
おなじみの同形模様の出だしから、次に横山七段が
9筋の端歩を突いたのをみて、佐々木七段はさらに追随し
反対サイドの1筋の端歩を突いて同形を維持します。。
ここで手番の横山七段が
1分の少考で3筋の歩を突くと(11手目▲3六歩)。。
12手目△8六歩。
上図での持ち駒
▲横山七段: なし
△佐々木七段: なし
佐々木七段は8筋の歩を突き合わせ
先に飛車先での歩交換を目指します。。
17手目△3七桂。
上図での持ち駒
▲横山七段: 歩
△佐々木七段: 歩
以下、▲同歩~△同飛の進行で歩交換が成立すると
横山七段は突進してきた後手の飛車先には目もくれず
玉を立てて「中住まい」に構えてから(15手目▲5八玉)
右の桂馬を跳躍させ、力を溜めます。。
21手目▲2四歩。
上図での持ち駒
▲横山七段: 歩
△佐々木七段: 歩
強気な先手の駒組みに対して
佐々木七段も同じく「中住まい」に構えると
先手に追随する形で角道を開いた(20手目△3四歩)
次の瞬間、横山七段は自らの飛車先から突っかけます。。
28手目△3五歩。
上図での持ち駒
▲横山七段: 歩2
△佐々木七段: 歩
同じ手順で2筋でも歩交換が成立。。
突進してきた先手の飛車先へ歩を打ち(24手目△2三歩)
穏便に収めた佐々木七段が3筋から反撃に転じた、上図の局面で
午前の対局は終了となり、お昼休憩突入となりました。。
【 お昼のオーダー 】
横山七段: 鮭ちゃんちゃん焼き弁当、納豆
佐々木七段: 生姜焼き定食
30手目△9五歩。
上図での持ち駒
▲横山七段: 歩2
△佐々木七段: 歩
午後の対局開始の一手で
横山七段が突き合わされた3筋の歩はそのままに
4筋の歩を突いたのをみて(29手目▲4六歩)、すかさず
佐々木七段は9筋の端から追撃します。。
この手に対し
横山七段がここで8筋に手を入れると(31手目▲8七歩)
佐々木七段が飛車を下げずに7筋の歩を取ったのをみて。。
(32手目△7六歩)
33手目▲2二角成。
上図での持ち駒
▲横山七段: 角、歩
△佐々木七段: 歩2
横山七段は32分の長考の後で
ズバリと角交換を敢行し、局面を動かします。。
43手目▲6六金。
上図での持ち駒
▲横山七段: 角、桂、歩2
△佐々木七段: 角、桂、歩3
角交換成立後、さらに桂交換も成立すると
横山七段は戦場にぶら下がった後手の飛車を標的に
力強く金を繰り出し、模様を広げて行きます。。
55手目▲6五角。
上図での持ち駒
▲横山七段: 桂
△佐々木七段: 角、歩3
しかし、佐々木飛車をなかなか捕らえることができず。。
形勢の針が後手へと傾き始める中、横山七段は上図の局面で
手持ちの角を狭い地点に投入し、切り返しを狙いますが。。
56手目△4六桂。
上図での持ち駒
▲横山七段: 桂
△佐々木七段: 角、歩4
佐々木七段は20分の考慮で気息を整えると
狙いの桂馬を急所へと跳躍させ、いざ勝負に出ました。。
横山七段は▲6八玉(57手目)とかわして、以下
△3八桂成~▲同金~△7七飛成~▲同玉に△7三桂~
▲7四角~△6四桂~▲6六金~△6五銀~▲同角をみて
△同桂~▲同金~下図70手目△7六歩と進行。。
70手目△7六歩。
上図での持ち駒
▲横山七段: 飛、銀、桂3、歩
△佐々木七段: 角2、歩3
佐々木七段がキラキラと
気持ちよく駒を捌きながら攻撃の手をつなぎ
形勢の針を大きく引き寄せました。。
が、しかし。。
75手目▲2一飛。
上図での持ち駒
▲横山七段: 銀、桂3、歩2
△佐々木七段: 角、歩4
後手の猛攻を何とか耐え忍んだ
横山七段がようやく手番の回った上図の局面で
手持ちの飛車を敵陣へ振り下ろすと。。
【 投了図・93手目▲5八玉 】
投了図での持ち駒
▲横山七段: 金、桂2、歩3
△佐々木七段: 歩5
華やかな攻撃の裏側で、後手玉の守りは意外に脆く。。
あっという間に自玉を追い込まれ逆転を許した佐々木七段は
捨て身の反撃に転じますが、それももはや形作りが精一杯。。
横山七段が爽やかに王手をかわした
上図の局面をみて、佐々木七段はついに力尽き果て
無念の投了を告げました。。
終局時刻は午前0時18分。
終盤のチャンスを逃さず逆転勝利を見事に飾った
横山七段は順位戦成績を6勝5敗としました。。
一方、中盤で築いたリードを活かせず
痛恨の逆転負けを喫した佐々木七段は開幕7連勝の後
まさかの3連敗で7勝3敗となり、昇格圏内から4位へ転落。。
3つのA級昇格枠には8勝2敗の藤井聡太竜王をトップに
8勝3敗の千田翔太七段、同じ7勝3敗ながらも番付の差で
稲葉陽八段が入り、試練の展開となった佐々木七段を含めて
残り2戦となった「鬼の棲みか」は風雲急を告げます。。