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振り飛車の存在感。。第１５回朝日杯/２回戦「豊島九段－菅井八段を振り返ろう」
決勝トーナメントが開幕した第１５回朝日杯は
この時期恒例の名古屋大会が今日と明日の２日間
熱田区の「名古屋国際会議場」にて行われます。。
今回は本日行われました２回戦
「豊島将之九段－菅井竜也八段」の模様を
ご紹介させていただきます。。
２手目△３四歩。
上図での持ち駒
▲豊島九段： なし
△菅井八段： なし
本局の先手は豊島九段。
その初手は飛車先を突く▲２六歩から。。
いきなり居飛車を明示した先手に対し、菅井八段は
２手目△３四歩と角道を開き、対局はスタート。。
１６手目△２二飛。
上図での持ち駒
▲豊島九段： なし
△菅井八段： なし
続く３手目に、豊島九段は飛車先を決め
後手に△３三角（４手目）の受けを強要してから
角道を通したまま自陣の駒組みを進めます。。
一方、冷静に９筋の端歩を突き越し主張を持った
菅井八段は上図で飛車に手をかけると、２筋へと振り
「向かい飛車」を投入、戦型は期待通りの「対抗形」に。。
２４手目△７二銀。
上図での持ち駒
▲豊島九段： なし
△菅井八段： なし
飛車のポジションが決まったところで
両者は息を合わせて玉の囲いを目指しますが
上図の局面で、菅井八段は降り飛車の相棒である
「美濃囲い」を完成しました。。
２７手目▲９八香。
上図での持ち駒
▲豊島九段： なし
△菅井八段： なし
一方の豊島九段は、上図の局面で
９筋の香車を繰り上げ、振り飛車の天敵である
堅くて遠い「穴熊」を明示します。。
４０手目△１五歩。
上図での持ち駒
▲豊島九段： なし
△菅井八段： 歩
重厚に駒組みを進める先手に対して
機敏に大駒が睨み合う２筋の歩を切った菅井八段は
豊島九段が玉を「穴熊」に納めた（３９手目▲９九玉）
次の瞬間、１筋の端から突っかけました。。
豊島九段はすぐに▲同歩（４１手目）と応じて、以下
△同香～▲同香～△同角に▲４八銀～△３五歩をみて
▲１八飛～△４二角～▲１一飛成～△３六歩～▲２二龍～
△同金～下図５３手目▲４一飛と激しく進行。。
５３手目▲４一飛。
上図での持ち駒
▲豊島九段： 香、歩
△菅井八段： 飛、香、歩３
いかにも秘策有りと言わんばかりの
後手の注文を真っ向から受けて立つ格好で
豊島九段は１筋に呼ばれた飛車をそのまま成り込み
攻撃のアクセルを強く踏み込みますが。。
６２手目△９七角成。
上図での持ち駒
▲豊島九段： 金、歩３
△菅井八段： 飛、香２、歩
ギリギリまで先手の攻めを引きつけてから
菅井八段は９筋の端から反撃の火の手を上げると
上図でズバッと角切りを敢行すると。。
７４手目△６九飛。
上図での持ち駒
▲豊島九段： 角、歩３
△菅井八段： 銀、桂、香２、歩２
「美濃」の堅さと豊富な持ち駒にものを言わせて
菅井八段は瞬く間に先手玉を包囲し、勝負を決めました。。
【 投了図・８４手目△７七角 】
投了図での持ち駒
▲豊島九段： 飛、歩３
△菅井八段： 金、銀、桂、香、歩３
強気の踏み込みが功を奏さず
大差がついた終盤戦にさすがの豊島九段も打つ手なし。。
上図の局面で万策尽き果て、無念の投了を告げました。。
午前に行われた１回戦で
１９２手に及んだ死闘の末、渡辺明名人に勝利した
菅井八段はもうひとりの雄・豊島九段を一刀両断に討ち取り
存在感をみせつけ、堂々のベスト４進出を決めました。。