第48期女流名人戦5番勝負/第1局「伊藤女流三段、会心の白星発進」
偉大なる13連覇の金字塔を目指す里見香奈女流名人に
伊藤紗恵女流三段が挑戦する、第48期女流名人戦5番勝負。
女流将棋界に新年の訪れを告げる伝統の番勝負が
いよいよ昨日、神奈川県の「岡田美術館 開化亭」にて
運命の幕を開きました。。
振り駒で決まる開幕戦の手番で
幸先良く先手を得たのは、伊藤女流三段でした。。
2手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲伊藤女流三段: なし
△里見女流名人: なし
伊藤女流三段の初手は飛車先を突く▲2六歩から。。
いきなり居飛車を明示した先手に対し、里見女流名人は
2手目△3四歩と角道を開き、こちらは含みを持たせて
対局はスタートとなりました。。
7手目▲6八玉。
上図での持ち駒
▲伊藤女流三段: なし
△里見女流名人: なし
続く3手目に、▲2五歩と飛車先を決め
後手に△3三角(4手目)の受けを強要した伊藤女流三段は
自らの角道を開けてから居玉を解除し、大舞台にも動じることなく
マイペースに堂々と自陣の駒組みを進めて行きます。。
11手目▲3三角成。
上図での持ち駒
▲伊藤女流三段: 角
△里見女流名人: なし
対照的に居玉のまま、相手の出方をうかがう
里見女流名人が9筋に続けて5筋の歩を突いたのをみて
伊藤女流三段は2分の少考で、ズバっと角交換を敢行。。
14手目△5五角。
上図での持ち駒
▲伊藤女流三段: なし
△里見女流名人: なし
角交換成立直後
伊藤女流三段は敵将の頭上5三の地点へ
里見女流名人は天王山・5筋の位へそれぞれ
手にした角を投入し、いきなりの乱戦模様へ。。
24手目△7五歩。
上図での持ち駒
▲伊藤女流三段: なし
△里見女流名人: なし
先に仕掛けたのは、里見女流名人。。
馬を作って自陣に手を戻した伊藤女流三段に対して
9筋の端歩を突き捨てると、続けて7筋から畳み掛けます。。
31手目▲6五桂。
上図での持ち駒
▲伊藤女流三段: 歩2
△里見女流名人: なし
伊藤女流三段が▲7五同歩(25手目)と応じたのをみて
里見女流名人はすかさず飛車を7筋に合わせ拠点としますが
しかし、伊藤女流三段は冷静な対応で迎えた上図の局面で
桂馬を戦場へと跳ね上げ、味良く切り返しました。。
里見女流名人はすぐに△6四銀とかわして、以下
▲5四馬~△4四銀~▲5六歩~△6五銀~▲同馬~
△同飛に▲5五歩~△同飛~▲5六歩をみて
下図42手目▲7七角と激しく進行。。
42手目△7七角。
上図での持ち駒
▲伊藤女流三段: 角、銀、歩2
△里見女流名人: 桂、歩
中央で駒を捌きあった後
里見女流名人が敵陣へ角を王手で打ち込み反撃に転じた
上図の局面で午前の対局は終了、お昼休憩に突入します。。
【 お昼のメニュー 】
伊藤女流三段: うな重弁当(肝吸い抜き)
里見女流名人: 名物 豆アジ天うどん(少なめ)
54手目△6四桂。
上図での持ち駒
▲伊藤女流三段: 角2、銀、歩3
△里見女流名人: 金、歩2
午後の対局は開始直後から、里見女流名人はエンジン全開。。
直線的な踏み込みで先手玉へと迫り、一気呵成の寄せに入ります。。
が、しかし。。
75手目▲5三桂。
上図での持ち駒
▲伊藤女流三段: 角2、歩3
△里見女流名人: 銀2、歩2
目が冴え、手が伸びる伊藤女流三段はスイスイと
玉を戦地から逃し、堅い城壁の中へ納め安全を確保してから
逆に頭上が間延びした未だ居玉の後手玉の頭上へ厳しく
桂馬を打ち込み、確信を持って勝負を決めに行きます。。
【 投了図・113手目▲4九玉 】
投了図での持ち駒
▲伊藤女流三段: 飛、角、金、歩2
△里見女流名人: 角、銀2、桂2、歩4
終盤戦は華々しい攻め合いとなりますが
すでに形勢は大きく先手に傾き、里見女流名人の執念は実らず。。
上図の局面をみて、里見女流名人は無念の投了を告げました。。
終局時刻は午後4時31分。
先手に見事な快勝を飾った伊藤女流三段が
悲願のタイトル奪取へ、会心の白星発進を決めました。。