持ち味発揮で激辛く。。第１５回朝日杯/１回戦「永瀬王座－阿久津八段を振り返ろう」
今回も昨日に続きまして、日曜日に行われました
第１５回朝日杯将棋オープンの名古屋大会二日目から
「永瀬拓矢王座－阿久津主税八段」の１回戦の模様を
振り返らせていただきます。。
２手目△８四歩。
上図での持ち駒
▲永瀬王座： なし
△阿久津八段： なし
本局の先手は永瀬王座
その初手は飛車先を突く▲２六歩から。。
対します、阿久津八段も２手目に同じく飛車先を突く
△８四歩と返し、対局はスタート。。
４手目△８五歩。
上図での持ち駒
▲永瀬王座： なし
△阿久津八段： なし
次に両者は息を合わせて飛車先を決め
戦型は現代の主役である「相掛かり」となりました。。
１１手目▲６八玉。
上図での持ち駒
▲永瀬王座： なし
△阿久津八段： なし
互いに角頭を金で受け、飛車の横に銀を立てる
おなじみの同形模様の出だしから、さらに９筋の歩を突き合った後
永瀬王座は居玉を解除し、「６八玉型」に構えました。。
この手に対し、阿久津八段は
追随せずに１筋の端歩を突くと（１２手目△１四歩）
次に、永瀬王座が３筋の歩を突いたのをみて。。
（１２手目△３六歩）
１４手目△８六歩。
上図での持ち駒
▲永瀬王座： なし
△阿久津八段： なし
阿久津八段は８筋の歩を突き合わせ
このタイミングで先に飛車先の歩交換を実行します。。
１９手目▲２四歩。
上図での持ち駒
▲永瀬王座： 歩
△阿久津八段： 歩
以下、▲同歩～△同飛の進行で歩交換が成立すると
永瀬王座は突進してきた後手の飛車先を受けることなく
桂馬を跳ねてから自らの飛車先の歩を突き合わせます。。
４０手目△５二金。
上図での持ち駒
▲永瀬王座： 歩２
△阿久津八段： なし
同じ手順で２筋でも歩交換が成立。。
両者は戦場に浮いた相手の飛車を標的に駒を盛り上げ
後手は銀を、先手は核を攻撃の基点に据えました。。
仕掛けどころを迎えた、上図から次に
手番の回った永瀬王座が７筋の歩を突き越すと。。
（４１手目▲７四歩）
４２手目△６六角。
上図での持ち駒
▲永瀬王座： 歩２
△阿久津八段： 角
阿久津八段はすかさず角交換を敢行。。
開戦を前に大駒を捌き、手持ちとしました。。
４７手目▲３五歩。
上図での持ち駒
▲永瀬王座： 角、歩２
△阿久津八段： 角、歩
角交換成立後
桂馬を跳ね、飛車を前に出して力を溜めた後手に対して
永瀬王座は３筋の歩を突き合わせ、先に仕掛けを開始します。。
阿久津八段は注文通りに△同飛（４８手目）と応じて、以下
▲８二歩～△９三桂～▲７三歩成～△同銀に▲８一歩成～
△４一玉～▲９一「と」金～△４五桂～▲同桂～△同飛～
▲７六歩～△６四銀をみて下図６１手目▲８三角と進行。。
６１手目▲８三角。
上図での持ち駒
▲永瀬王座： 桂、香
△阿久津八段： 角、桂、歩３
前に出た先手の手に乗りながら
阿久津八段はこまを前に出し、攻勢に転じますが
しかし、永瀬王座は上図で狙い澄まして角を打ち込み
きっちりと攻守に利かせて切り返します。。
７７手目▲７七同桂。
上図での持ち駒
▲永瀬王座： 香、歩２
△阿久津八段： 角、香、歩
それでも攻め続ける阿久津八段に対し
永瀬王座は成った馬を手厚く自陣に引き戻すと
三枚の桂馬が見事に連動する鉄壁の構えを完成。。
後手の攻め手を断ち切り、形勢を引き寄せます。。
【 投了図・１２５手目▲７一龍 】
投了図での持ち駒
▲永瀬王座： 金、銀、香、歩４
△阿久津八段： 飛、歩３
こうなると後には引けない阿久津八段は
最後まで攻め合いに勝機を求めますが、しかし
永瀬王座はつけ入る隙を与えず、上図の局面をみて
阿久津八段は万策尽き果て、無念の投了を告げました。。
らしさを存分に発揮し完勝を飾った
永瀬王座は午後からの２回戦でも藤井聡太竜王に勝利し
あらためてその実力をみせつけ、ベスト４進出を決めました。。