雀刺しで矢倉囲いを攻略、2四に銀がいる場合はどう攻める?

雀刺しで矢倉囲いを攻略、2四に銀がいる場合はどう攻める?

ライター: 一瀬浩司  更新: 2017年10月16日

今回のコラムも、矢倉に対する雀刺しでの攻め方の続きです。それでは、第1図をご覧ください。

【第1図】

ここまでの数回のコラムでは、第1図が先手の手番として、どう攻めていくかを見てきました。▲3三桂成と銀を取っても先手が十分ですし、▲1三桂成や▲1四歩と端を攻めても先手がよくなりました。実際は、第1図を迎えたら△2四銀(第2図)と逃げてくる手がほとんどでしょう。

【第2図は△2四銀まで】

この第2図からの攻防がどうなっていくのか? それをこれから見ていきます。ここからが雀刺しでのメインの攻防となっていきます。さあ、まずは▲1四歩と突いて、△同歩▲同香(第3図)と攻めてみましょう。

【第3図は▲1四同香まで】

第3図で、後手からは△1二歩、△1四同香と二つの応手があります。結論から言いますと、どちらの応手でも先手はうまく攻めきることができません。まずは、いちばん弱気そうな△1二歩ですが、実際に受けられてみると、ここで先手は手が止まってしまいます。

後手の銀が3三の状態でしたら、▲1三歩や、▲1二香成△同香▲1三歩で攻めきれると前回のコラムでご紹介いたしましたが、今回は2四に銀がいるので端の守りが1枚違ってきます。どう違ってくるか見てみましょう。

では、第3図からの△1二歩に対して、▲1三歩△同歩▲同香成と攻めてみます。後手の応手は、香で取る手と桂で取る手の二通りあります。まずは△1三同香と取る順から見てみましょう。▲同桂成に△同銀は▲1七香でなかなかうるさいですが、△1三同桂と取り、▲1四歩に△1五香(第4図)と打ち返せば、▲1三歩成△同銀(△同玉は▲1五飛で香がただ取りです。以下△1五同銀は▲1三角成と玉を取られてしまいます)で先手は持ち歩がないため、飛車取りが受けにくいです。

【第4図は△1五香まで】

▲3八飛と逃げても、△1七香成とされて△2七成香から飛車をいじめられながらじわじわと上部開拓されて先手不利となります。また、▲1三同香成のときに、△同桂もあります。▲同桂成△同香(第5図)となり、今度は先手が歩を持っているので▲1四歩と打ってよしと思えるところです。

【第5図は△1三同香まで】

が、△1四同香▲同飛のとき、後手の駒台には香が乗っています。その香を△1一香と打たれると、飛車の逃げ場がなく、取られてしまいます。第5図で▲1六歩と受けるのでは、端を攻めた効果がまったくないうえに、△1一香とされて△1六香の逆襲を狙われて困ってしまいます。というわけで、第3図では△1二歩と受けられて先手の攻めは続かないということがわかりました。

これで、第2図から▲1四歩と突くのは無理攻め、ということで終わりにしてもよいのですが、第3図で△1四同香と取られた場合も次回のコラムで見てみましょう。

矢倉の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。

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