第30期竜王戦7番勝負/第1局「羽生棋聖、会心の白星発進」 | 柔らかい手~個人的将棋ブログ

第30期竜王戦7番勝負/第1局「羽生棋聖、会心の白星発進」

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通算12期目の防衛を目指す渡辺明竜王に

「永世七冠」達成が懸かる羽生善治棋聖が挑戦する

第30期竜王戦7番勝負。

 

7年ぶりに頂上決戦が実現した「冬の本場所」が

昨日より、東京都渋谷区「セルリアンタワー能楽堂」にて

運命の開幕を迎えました。

 

 

竜王戦/第1局・柔らかいプレビュー

 

 

振り駒で決まる開幕戦の手番で

幸先良く先手を得たのは、羽生棋聖でした。。

 

 

 

2手目△8四歩。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生棋聖: なし

△渡辺竜王: なし

 

羽生棋聖の初手は飛車先を突く▲2六歩。

対します、渡辺竜王も2手目に同じく飛車先を突く

△8四歩と返し、対局はスタート。。

 

 

 

4手目△8五歩。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生棋聖: なし

△渡辺竜王: なし

 

次に両者は息を合わせて飛車先を決め

開幕戦の戦型は「相掛かり」となりました。。

 

 

 

9手目▲5八玉。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生棋聖: なし

△渡辺竜王: なし

 

これまでの「相掛かり」は先手からまず

飛車先の歩を交換するのが定番でしたが

本局の羽生棋聖は飛車先を保留したまま

先に居玉を解除し「中住まい」に構えます。。

 

 

 

15手目▲8六歩。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生棋聖: なし

△渡辺竜王: なし

 

代わりに両サイドの端歩を丁寧に突き合ってから

後手番の渡辺竜王から飛車先の歩を突き合せる

最近、流行の出だしとなりました。。

 

 

 

21手目▲2四歩。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生棋聖: なし

△渡辺竜王: 歩

 

飛車先の歩を切り、一歩を手にした

渡辺竜王が角道を開いたところで(20手目△3四歩)

羽生棋聖もようやく自らの飛車先2筋で歩を合わせます。。

 

 

 

29手目▲2四歩。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生棋聖: なし

△渡辺竜王: 歩

 

同じく飛車先で歩交換を成立させた

羽生棋聖は角道を開いてから(27手目▲7六歩)

飛車を浮かせて構えた2筋から再び突っかけます。。

 

渡辺竜王は△同歩(30手目)と応じて、以下

▲同飛~△8ニ飛~▲3四飛~△3三角をみて

下図35手目▲1五歩と進行。。

 

 

 

35手目▲1五歩。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生棋聖: 歩2

△渡辺竜王: 歩2

 

羽生棋聖は二度目の歩交換成立後

飛車でお隣り3筋の「横歩」をかすめ取ると

渡辺竜王が飛車先を角で受けたのをみて、すかさず

1筋の端歩を突き合わせ、さらに追撃。。

 

 

 

39手目▲3五飛。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生棋聖: なし

△渡辺竜王: 歩

 

1筋を突き捨てた羽生棋聖は

右の桂馬を跳躍(37手目▲3七桂馬)

着々と力を溜めながら、後手の△2三銀をみて

飛車を一段下げ、事前に当りを緩和しました。。

 

ここで手番を握った渡辺竜王は、次に。。

 

 

 

40手目△3四歩。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生棋聖: 歩2

△渡辺竜王: 歩2

 

羽生飛車の頭上を歩で叩き

反撃の狼煙を上げ、主導権を掴みに出ます。。

 

この局面で

羽生棋聖が次の手を封じて一日目は終了。

指し掛けとなりました。

 

 

竜王戦/第1局・一日目の流れ

 

 

 

41手目▲2五飛。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生棋聖: 歩2

△渡辺竜王: 歩2

 

一夜が明けて

迎えた本日、決着の二日目。。

 

注目の羽生棋聖の「封じ手」は▲2五飛。

穏便に飛車を2筋に戻し、後手に手番を渡しました。。

 

 

 

42手目△2四歩。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生棋聖: 歩2

△渡辺竜王: 歩

 

この「封じ手」は読み筋だったか。。

渡辺竜王は2分の少考で先手の飛車先に歩を投入。

惜しげもなく手持ちの歩を使い局面を収めにかかります。。

 

すると、次の瞬間。。

 

 

 

43手目▲3三角成。

 

上図での持ち味

 

▲羽生棋聖: 角、歩2

△渡辺竜王: 歩

 

羽生棋聖は10分の考慮で角交換を敢行。

このタイミングで角を捌き、手番を取り戻します。。

 

渡辺竜王は△同銀(44手目)で角を払い、以下

▲2九飛~△5四銀~▲2五歩~△1六歩~▲2四歩に

下図50手目△1七歩成と進行。。

 

 

 

50手目△1七歩成。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生棋聖: 角、歩2

△渡辺竜王: 角、歩

 

角交換成立直後

羽生棋聖は飛車を自陣最下段に引き下げると

三度、2筋で歩を合わせ、執拗に2筋から仕掛けます。。

 

しかし、渡辺竜王も受けには回らず

1筋の歩を前進させて、歩の成り込みに成功。。

端を起点に撃ち合う意志を示しました。。

 

 

 

54手目△2七歩。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生棋聖: 角、歩3

△渡辺竜王: 角、香

 

1筋の攻防が一段落すると

羽生棋聖も飛車先で歩の成り込みに成功。

(53手目▲2三歩成)

 

渡辺竜王はいよいよ出番を待つ

羽生飛車の進路を何とか歩で塞ぎますが。。

 

 

 

55手目▲3ニ「と」金。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生棋聖: 角、金、歩3

△渡辺竜王: 角、香

 

羽生棋聖は構うことなく「と」金で金を捕獲。。

気合も満点高らかに、いざ決戦を告げました。

 

渡辺竜王も呼応し

2筋の歩を羽生飛車に突き刺し(56手目△2八歩成)

以下、▲3三「と」金~△同桂~▲1五角に△2九「と」金~

▲3三角成~△6ニ玉~▲7五桂~下図64手目△7四角と進行。

 

 

 

64手目△7四角。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生棋聖: 金、銀、歩3

△渡辺竜王: 飛、香、歩

 

羽生棋聖は飛車をオトリに一気に攻勢に転じると

攻撃軍が躍動し、瞬く間に渡辺玉を追い込みます。。

 

守勢に回らざるを得ない渡辺竜王が

攻防の角を打ちこんだ上図の局面で、濃厚で激辛だった

午前の対局は終了となり、お昼休憩に突入。。

 

【 お昼のメニュー 】

 

両者ともに「すき焼き弁当」

 

 

 

65手目▲5五銀。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生棋聖: 金、歩3

△渡辺竜王: 飛、香、歩

 

午後の対局開始の一手で

羽生棋聖は天王山・5筋の位に銀を打ち込み

後手玉を守る銀を剥がしにかかります。。

 

玉頭とともに4筋の歩も守る切り札の銀を

渡辺竜王は浮かせたくないのはやまやまですが、しかし

7五の桂馬の打ち込みですでに6三の地点に先着されており

ここは△同銀(66手目)と応じざるをえず、苦しい展開に。。。

 

 

 

71手目▲6三銀。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生棋聖: 金、歩4

△渡辺竜王: 飛、銀2、香、歩

 

一方の羽生棋聖は絶好調。

手にした銀を馬の図上に重ねて、気持ちよく

後手玉を押しつぶしにかかります。。

 

 

 

87手目▲3一金。

 

上図での持ち駒

 

▲羽生棋聖: 歩5

△渡辺竜王: 銀、香、歩

 

終盤戦は羽生棋聖の独壇場に。

一方的に盤上を支配し、万全の寄せに入ります。。

 

 

 

竜王戦/第1の棋譜中継はこちら

 

 

【 投了図・95手目▲7七玉 】

 

 

投了図での持ち駒

 

▲羽生棋聖: 歩3

△渡辺竜王: 金、銀、香、歩

 

本局は全く見せ場の無かった渡辺竜王は

最後に意地の反撃をみせますが、形勢には響かず

上図の局面をみて、無の投了を告げました。

 

終局時刻は午後4時28分。

羽生棋聖が会心の勝利で開幕戦白星を飾り

空前絶後、前人未到の大記録「永世七冠」へ向け

今、最高のスタートを切りました。

 

 

□□□

 

竜王戦/第1局・一日目の所感。。

 

セルリアンな掛け合い

 

 

 

頂上決戦、ついに開幕。。

 

羽生棋聖今期成績一覧

 

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