大願成就後の世界。。第89期棋聖戦・二次予選/1回戦「中村王座-野月八段を振り返ろう」
昨日の将棋界には注目の中村太地王座が登場。
東京・将棋会館にて第89期棋聖戦・二次予選/1回戦を
野月貴浩八段を相手に戦いました。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲中村王座: なし
△野月八段: なし
先手は中村王座。
その初手は飛車先を突く▲2六歩から。。
対します、野月八段も2手目△8四歩と同じく
飛車先の歩を突き、対局はスタート。。
6手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲中村王座: なし
△野月八段: なし
続く3手目に、中村六段が角道を開くと
野月八段は飛車先を決めて(4手目△8五歩)
先手に▲7七角(5手目)の受けを強要してから
自らの角道を開きました。。
18手目△7三銀。
上図での持ち駒
▲中村王座: なし
△野月八段: なし
先手も飛車先を決めてから
居玉のまま「雁木」含みに駒組みを進めると
後手は飛車のコビンを開いて急戦投入をみせる
序盤は最近の流行形へと進行します。。
24手目△7五歩。
上図での持ち駒
▲中村王座: なし
△野月八段: なし
先に仕掛けたのは、野月八段。
上図で7筋の歩を突き合わせました。。
29手目▲6七金右。
上図での持ち駒
▲中村王座: 歩
△野月八段: なし
中村王座が▲同歩(25手目)と応じると
野月八段は浮いた先手の歩を標的として
銀をお供に飛車を7筋に合わせました。。
(28手目△7ニ飛)
角道の止まる中村六段は上図で金を繰り上げ
自陣上部を厚くし、後手からの攻めに備えますが。。
30手目△7五銀。
上図での持ち駒
▲中村王座: 歩
△野月八段: 歩
攻め将棋が持ち味である
野月八段は一息つかずに起点の7筋で
銀をぶつけて強く攻勢に出ます。。
39手目▲8ニ銀。
上図での持ち駒
▲中村王座: なし
△野月八段: 銀
しかし、直後に銀交換が成立すると
すぐの開戦には至らず、互いに玉を自陣の左側に寄せて
少なからず安全を確保してから、上図の局面で中村王座が
手持ちの銀を敵陣の好所に投入し反撃を開始します。。
桂・香両取りを掛けられた野月八段は
香車を諦め、桂馬を跳躍(40手目△7三桂)。。
48手目△8五桂。
上図での持ち駒
▲中村王座: 香、歩
△野月八段: 銀、歩2
さらに、野月八段は8筋で歩を突き捨て
先手の銀を呼びこんでから、桂馬を二度目の跳躍。
飛車を軸にジワジワと攻撃態勢を整えて行きます。。
この手にみて、中村王座は。。
49手目▲4五桂。
上図での持ち駒
▲中村王座: 香、歩
△野月八段: 銀、歩2
「桂には桂で対抗」とばかりに
右の桂馬を後手の角目掛けて戦場に跳躍。。
手番を稼ぎつつ、均衡を保ちます。。
59手目▲7ニ成銀。
上図での持ち駒
▲中村王座: 香、歩2
△野月八段: 銀、桂、歩2
その桂馬をオトリとして
中村王座は敵陣で孤立していた銀を成り込み
戦列に復帰させると、野月八段が狙われた飛車を
4筋に逃したのをみて(60手目△4一飛)。。
61手目▲4四香。
上図での持ち駒
▲中村王座: 歩2
△野月八段: 銀、桂、歩2
中村王座は返す刀で
銀が事前に捕獲した香車を4筋に投入。。
しなやかに手をつなぎ、攻勢を強めます。。
が、しかし。。
70手目△4五飛。
上図での持ち駒
▲中村王座: 角、歩4
△野月八段: 銀、桂、香、歩
直後に香車と角の交換が成立すると
駒損にも関わらず、駒が捌けた形にもなり
後手の攻撃軍が一気に躍動。。
82手目△4五桂。
上図での持ち駒
▲中村王座: 桂、歩3
△野月八段: 歩3
力強く4筋から飛車先突破に成功した
野月八段は手持ちの香車と桂馬を立て続けに投入し
龍の後方から援護射撃に参加させて、ガッチリと
総攻撃の手はずをと整えました。。
99手目▲5八桂。
上図での持ち駒
▲中村王座: 金、桂、歩3
△野月八段: 歩2
強まる後手の圧力を前に
中村王座は角切りの強襲から91手目▲5ニ角成)
反撃の狼煙を上げるも、形勢を揺るがすには至らず。。
ならばと受けに回り、必死の抵抗を見せますが。。
【 投了図・108手目△8八金 】
投了図での持ち駒
▲中村王座: 飛、桂、歩3
△野月八段: 角、香、歩2
野月八段の厳しい寄せの前に、上図の局面で
万策尽き果て中村王座は無念の投了を告げました。。
10月、3度目の挑戦でついに
羽生善治王座(当時)を下し、悲願のタイトル奪取を達成した
中村王座はこれで王座戴冠後の公式戦3勝4敗と黒星先行。。
大願成就後の世界はなお、勝負の厳しさのみを知らしめます。
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新年恒例・王将戦は1月7日開幕。。
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羽生棋聖、悲願の竜王奪取に王手!
竜王戦/第4局終局直後の感想
竜王戦/第4局・一日目の所感。。
決戦の舞台は新潟
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棋王戦挑戦権争いも大詰め。。
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独走か、それとも。。