第76期A級順位戦/7回戦「羽生棋聖-渡辺竜王の終盤戦を振り返ろう」
64手目△6四同玉。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 銀2、桂
△渡辺竜王: 角、桂3、歩2
昨日、東京・将棋会館にて行われました
第76期A級順位戦/7回戦の大注目カード
「羽生善治棋聖-渡辺明竜王」は、上図の局面で
夜戦に備えて夕食休憩に突入。。
10手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: なし
△渡辺竜王: 角
先手・羽生棋聖の初手▲7六歩から
△8四歩~▲2六歩~の出だしとなり、戦型は
いざ、「角換わり」を目指す進行に。。
定跡手順の進行で迎えた上図の局面で
代えて△4四歩と角道を止めて角交換を拒否する
指し方も最近は多く見られますが、本局の渡辺竜王は
そのまま手損のない角交換を敢行しました。。
25手目▲5六銀。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 角
△渡辺竜王: 角
角交換成立後
両者は前例を踏襲しながら駒組みを進め
上図で羽生棋聖は銀を中央5筋の戦場に繰り出し
「腰掛銀」に形を決めました。。
34手目△5四銀。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 角
△渡辺竜王: 角
一方、渡辺竜王はすぐには追随せず。。
両サイドの端歩を丁寧に突き合い、間合いを計ってから
羽生棋聖が6筋の歩を突いたのをみて(33手目▲6六歩)
同じく銀を繰り出し、戦型は「角換わり相腰掛銀」に決定。。
上図から次に
羽生棋聖が右の桂馬を跳躍させると。。
(35手目▲3七桂)
36手目△8一飛。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 角
△渡辺竜王: 角
渡辺竜王は飛車を自陣最下段へと引き下げ
最新流行形の「△4ニ玉+6ニ金+8一飛」型に
駒を組み上げました。。
38手目△6五歩。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 角
△渡辺竜王: 角
次に、羽生棋聖が金を上げて(37手目▲4七金)
自陣の上部を厚くしたところで、この形の定跡手である
6筋の歩を突き合わせ、仕掛けを開始します。。
しかし。。
43手目▲4五銀。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 角、歩
△渡辺竜王: 角
羽生棋聖は▲同歩(39手目)と応じると
右銀が戦場を駆け上がり、銀交換を要求。。
積極果敢に反撃に転じました。。
渡辺竜王が銀交換には応じずに
自陣に銀を引き下げると(44手目△6三銀)、以下
▲3五歩~△同歩に下図47手目▲2五桂と進行。。
47手目▲2五桂。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 角、歩
△渡辺竜王: 角、歩
羽生棋聖は3筋の歩を突き捨ててから
飛車先2筋へ桂馬を跳躍、前への圧力を強めます。。
この形が羽生棋聖の事前研究であり構想。
37手目▲4七金が2六歩型を生かす趣向の一着で
渡辺竜王は「▲2五桂の痛さに気づいていなかった」
と、終局後の感想戦でコメント。。
51手目▲3三桂成。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 桂、歩
△渡辺竜王: 角、歩
羽生棋聖は天王山5筋の位に角を打ちこんでから
まずは上図で桂交換を成立させたのに続いて。。
53手目▲3三同角成。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 桂、歩
△渡辺竜王: 角、歩
銀との交換で王手で角を切りも敢行。。
現在絶賛開催中の竜王戦でみせる勢いそのままに
本局も激しく強い踏み込みで攻防の主導権を掴みます。。
59手目▲6三桂成。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 銀2、歩
△渡辺竜王: 角、桂、歩
畳み掛ける羽生棋聖は
角の替わりに5筋の位に据えた桂馬を発射。。
王手で二枚目の銀を捕獲すると。。
64手目△6四同玉。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 銀2、桂
△渡辺竜王: 角、桂3、歩2
オリジナルの左の桂馬も桂交換で捌き
渡辺玉を上部に引き吊り出した上図の局面で
溢れる闘志にまずは一息、夕食休憩に突入。。
【 夕食のオーダー 】
羽生棋聖: なべ焼きうどん
渡辺竜王: 中華そば
65手目▲6五銀。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 銀2、桂、歩
△渡辺竜王: 角、桂3、歩2
夕食休憩明けの一手で
羽生棋聖は6筋の歩を取り込み王手。。
貴重な一歩と引き換えに銀をタダ捨てし、さらに
渡辺玉を引きずり出すと(66手目△同玉)。。
67手目▲5八銀。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 銀、桂、歩
△渡辺竜王: 角、銀、桂3、歩2
フワリと自陣に手を戻して銀を投入。。
打ち込んだものの出番の全く訪れない後手の角を
このタイミングで一発で詰ませました。。
この手を読んでいなかったという渡辺竜王は
角を諦め、飛車先8筋から反撃に転じますが。。
(68手目△8六歩)
69手目▲4九銀。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 角、銀、桂、歩
△渡辺竜王: 角、銀、桂3、歩2
羽生棋聖は構うことなく角を取り込み
堂々と後手の攻めを呼び込みました。。
70手目△6七桂。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 角、銀、桂、歩
△渡辺竜王: 角、銀、桂2、歩2
ならば、と渡辺竜王は8分の考慮で
自玉をさらしたまま桂馬の王手で攻勢に出ます。。
が、しかし
羽生棋聖は動じることなく▲同金(71手目)で払い、以下
△8七歩成に▲5六銀~△6四玉~▲5五角~△6三玉~
▲6四銀~△5ニ玉~下図79手目△6三歩と強く、進行。。
79手目▲6三歩。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 桂2
△渡辺竜王: 角、銀、桂2、歩3
羽生棋聖は戦力をフル活用して
つり出した渡辺玉に雨あられとパンチを連打。。
後手陣まで押し返し、そのまま勝負を決めに行きます。。
【 投了図・89手目▲4五桂 】
投了図での持ち駒
▲羽生棋聖: 金、桂、歩
△渡辺竜王: 銀、桂、歩3
最後の反撃は形作りに止まり
上図の局面をみて渡辺竜王、無念の投了。。
注目の一戦はともに持ち時間を1時間以上残し
大差の末にあっけない幕切れとなりました。。
終局時刻は午後9時32分。
この結果、羽生棋聖の順位戦成績は5勝2敗に
一方、敗れた渡辺竜王は3勝4敗と黒星が先行。。
来週の月曜日(12月4日)に開幕を控える
タイトル奪取に王手を懸けて迎える世紀の大一番
第30期竜王戦/第5局を前に、羽生棋聖が力強く
その勢いをさらに加速します。。
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A級の先に見据えるものは。。
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新年恒例・王将戦は1月7日開幕。。
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羽生棋聖、悲願の竜王奪取に王手!
竜王戦/第4局終局直後の感想
竜王戦/第4局・一日目の所感。。
決戦の舞台は新潟
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棋王戦挑戦権争いも大詰め。。
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独走か、それとも。。