第30期竜王戦7番勝負/第5局・一日目「大一番も積極的に。。羽生棋聖が封じ手」
通算12期目の防衛を目指す渡辺明竜王に
「永世七冠」達成が懸かる羽生善治棋聖が挑戦する
将棋界「冬の本場所」第30期竜王戦7番勝負。
ここまで4局を消化し、羽生棋聖が3勝1敗とリード。
悲願の竜王奪取に王手をかけて迎えた世紀の大一番
第5局が本日より、鹿児島県指宿市「指宿白水館」にて
いよいよ運命の幕を開きました。。
第5局の先手は、羽生棋聖。
その初手は普段通りに角道を開く▲7六歩から。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: なし
△渡辺竜王: なし
対します、カド番でもう後の無い
渡辺竜王は2手目△8四歩と飛車先を突き
対局はスタートとなりました。。
早々と居飛車を明示し
戦型の選択権を先手に委ねた渡辺竜王に対し
羽生棋聖の作戦が明らかとなる、次の3手目は。。
3手目▲2六歩。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: なし
△渡辺竜王: なし
代えて▲6八銀からの「矢倉」も考えられましたが
羽生棋聖は3分の少考の後、3手目▲2六歩として
「角換わり」での勝負を指向しました。。
9手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: なし
△渡辺竜王: なし
2手目△8四歩と突いたからには
渡辺竜王も「角換わり」に異存はなく、大一番らしく
確立された定跡手順を嚙みしめるように進行。。
迎えた上図で羽生棋聖が
▲6八銀と上がった局面が後手の作戦の分かれ道。
△7七角成の角交換か、△4四歩の角交換拒否か。。
どちらも同じくらい考えられましたが。。
10手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: なし
△渡辺竜王: 角
渡辺竜王は2分の少考で気息を整えると
覚悟は決まっているとばかりに角交換を敢行。。
手損のない「ノーマル角換わり」となりました。
16手目△4ニ玉。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 角
△渡辺竜王: 角
角交換成立後
次なる焦点は右銀のポジショニングとなりますが
羽生棋聖が4筋の歩を突いたのをみて(15手目▲4六歩)
渡辺竜王は右銀の態度を保留し、先に居玉を解除します。。
この手に対し、羽生棋聖は。。
17手目▲4七銀。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 角
△渡辺竜王: 角
2分の少考で銀を4筋に繰り上げ
「ノーマル角換わり」の常套手段「腰掛銀」を
ケレン味なく目指します。。
19手目▲5六銀。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 角
△渡辺竜王: 角
次に、渡辺竜王の△3三銀(18手目)をみて
羽生棋聖はそのまま銀を中央5筋へと繰り出し
居玉のまま、先に「腰掛銀」に形を決めました。。
この手をみて
渡辺竜王は手を止め、しばし考慮に耽ります。。
20手目△7四歩。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 角
△渡辺竜王: 角
19分、時間を使ってから
渡辺竜王は7筋の歩を突いて飛車のコビンを開き
先手の「腰掛銀」に対して、「棒銀」と「早繰り銀」を
それぞれ含みとしました。。
が、しかし
24手目△6三銀。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 角
△渡辺竜王: 角
羽生棋聖が居玉を解除したところで(23手目▲6八玉)
渡辺竜王は銀を7筋ではなく6筋に立て、先手と同じく
「腰掛銀」を目指す進行を選択しました。。
32手目△6ニ金。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 角
△渡辺竜王: 角
渡辺竜王はすぐには銀を戦場に構えず
6筋に保留したまま、まずは現在の流行形である
「△4ニ玉+6ニ金+8一飛」型に駒を組みます。。
上図から次に
羽生棋聖が右の桂馬を跳躍させると。。
(33手目▲3七桂)
34手目△3一玉。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 角
△渡辺竜王: 角
玉を3一の地点に移動させて
銀の態度よりも玉の安全確保を優先しました。。
この局面で、羽生棋聖が長考に入り
そのまま午前の対局は終了、お昼休憩に突入。。
【 お昼のメニュー 】
羽生棋聖: 黒豚カツカレー
渡辺竜王: 黒豚カツカレー(辛さ控え目)
36手目△5四銀。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 角
△渡辺竜王: 角
午後の対局開始の一手で
羽生棋聖は午前と合わせて53分の長考の末に
6筋の歩を突きました(35手目▲6六歩)。。
この手をみて、渡辺竜王は16分の考慮で
銀を中央5筋へと繰り出し、世紀の大一番の戦型は
「角換わり相腰掛銀」に決定しました。。
すると、次の瞬間。。
37手目▲4五銀。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 角
△渡辺竜王: 角
羽生棋聖はいきなり4筋に銀を繰り上げ
「腰掛銀」の激突から、強く仕掛けを開始しました。。
渡辺竜王はこのタイミングでの銀交換を拒み
「腰掛銀」を前進させると(38手目△5五銀)。。
39手目▲2五桂。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 角
△渡辺竜王: 角
羽生棋聖は桂馬をヒラリと2筋に跳躍。。
今シリーズの流れそのままに、積極的な指し回しで
純然と、そして強かに、いざ勝負を求めます。。
41手目▲1五歩。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 角
△渡辺竜王: 角
渡辺竜王が桂馬に狙われた銀を
自陣に引き下げたのをみて(40手目△4ニ銀)
羽生棋聖は1筋の端歩を突き合わせ畳み掛けます。。
すると。。
42手目△3七角。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 角
△渡辺竜王: なし
ここまで受けに回った渡辺竜王がようやく反撃。。
34分の考慮の後、手持ちの角を敵陣に打ち込み
羽生飛車のコメカミに当てて手番を稼ぎます。。
この手に対し、羽生棋聖は37分の考慮で
狙われた飛車を一段引き下げ(43手目▲2九飛)、以下
△4六角成に▲4九飛に下図46手目△1五歩と進行。。
46手目△1五歩。
上図での持ち駒
▲羽生棋聖: 角
△渡辺竜王: 歩2
渡辺竜王が馬を作ってから1筋の歩を取り込んだ
上図の局面で終了時刻(午後6時)を迎え、羽生棋聖が
次の手を封じて、一日目は終了となりました。。
本格開戦を前に、形勢はまだ互角ながらも
積極的に仕掛けた羽生棋聖は自信有り気に感じます。
今シリーズは二日目の失速が目に付く渡辺竜王は
果たして、現在の形勢をどうみているのか。。
明日は決着の二日目。
世紀の大一番のクライマックスへ、いざ。。
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世紀の決戦、鹿児島にて開幕。。
将棋の代名詞・羽生棋聖の現在地
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前哨戦の先に見据えるものは。。
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羽生棋聖、悲願の竜王奪取に王手!
竜王戦/第4局終局直後の感想
竜王戦/第4局・一日目の所感。。
第4局の舞台は新潟