前人未到からの第一歩。。第59期王位戦・紅組/1回戦「羽生竜王-近藤五段を振り返ろう」
「年度末の風物詩」第43期棋王戦が開幕し
いよいよ本年度の将棋界も大詰めに向かいますが
来期の「夏の風物詩」第59期王位戦出場権を懸けた
挑決リーグも昨日開幕、新年度の戦いもスタート。。
今回は昨日行なわれました
注目の王位戦挑戦者決定リーグ・紅組/1回戦
「羽生善治竜王-近藤誠也五段」の模様を
振り返らせていただきます。。
2手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲近藤五段: なし
△羽生竜王: なし
先手は近藤五段。
その初手は角道を開く▲7六歩から。
対します、羽生竜王は2手目に同じく角道を開く
△3四歩と返し、対局はスタート。。
6手目△8五歩。
上図での持ち駒
▲近藤五段: なし
△羽生竜王: なし
次に両者は息を合わせて飛車先を決め
いざ、「横歩取り」を目指す序盤の出だしに。。
14手目△8六同飛。
上図での持ち駒
▲近藤五段: 歩2
△羽生竜王: 歩2
そのまま定跡手順の進行となり
互いに角頭を金で受け、飛車先で歩を交換した
上図から次に、近藤五段が。。
15手目▲3四飛。
上図での持ち駒
▲近藤五段: 歩3
△羽生竜王: 歩2
2筋の浮き飛車でお隣り3筋の歩をかすめとる
おなじみの進行で戦型は「横歩取り」に決定。。
上図から次に、羽生竜王は
3筋に回った先手の飛車先を角で受けました。。
(16手目△3三角)
23手目▲6八玉。
上図での持ち駒
▲近藤五段: 歩2
△羽生竜王: 歩2
羽生竜王は飛車を8四の地点に下げると
左の銀を2筋に開いてから(20手目△2ニ玉)
玉を立て、「中住まい」に構えます。。
一方、素直に飛車を引き下げ
8筋のキズを丁寧に消した(21手目▲8七歩)
近藤五段は後手に続けて居玉を解除し、6筋に構え
「▲6八玉型」を採用しました。。
この手をみて、羽生竜王は。。
24手目△7ニ銀。
上図での持ち駒
▲近藤五段: 歩2
△羽生竜王: 歩2
銀を立て、自陣の右側に「美濃囲い」を築きます。
この手に対し、近藤五段は3筋の歩を突き(25手目▲3六歩)
以下、△7四歩~▲3八銀~△7六飛~▲3七桂~△9四歩に
▲7七角~△2三歩をみて、下図33手目▲8八銀と進行。。
33手目▲8八銀。
上図での持ち駒
▲近藤五段: 歩2
△羽生竜王: 歩2
先手の飛車の横利きが止まった瞬間を逃さず
羽生竜王は飛車を回して7筋に重石を置きます。。
しかし、近藤五段は慌てることなく
圧力のかかる自陣左側の駒組みを整備すると。。
37手目▲3三角成。
上図での持ち駒
▲近藤五段: 角、歩2
△羽生竜王: 歩2
端歩で間合いを計ってから角交換を敢行。
2年前の初手合いで勝利をおさめた自信を胸に
将棋の代名詞・羽生竜王と互角に渡り合います。。
46手目△9八歩。
上図での持ち駒
▲近藤五段: 角、歩4
△羽生竜王: 角
角交換成立後
羽生竜王が9筋の端から仕掛けると。。
47手目▲8八角。
上図での持ち駒
▲近藤五段: 歩4
△羽生竜王: 角
近藤五段は狭い地点に手持ちの角を投入。。
極太の手で9九のカドを受けつつ攻守に利かせます。
48手目△2四飛。
上図での持ち駒
▲近藤五段: 歩4
△羽生竜王: 角
ならば、と羽生竜王が
飛車を2筋に合わせて飛車交換を打診すると。。
49手目▲2五歩。
上図での持ち駒
▲近藤五段: 歩3
△羽生竜王: 角
近藤五段は向き合う飛車の間に歩をあてがい
飛車交換を拒み、腰を落としてチャンスを待ちます。。
57手目▲4五桂。
上図での持ち駒
▲近藤五段: 歩3
△羽生竜王: 歩
飛・角の大駒を振り回し揺さぶりをかける
羽生竜王に対して、近藤五段の反撃は桂馬の跳躍から。。
しかし、羽生竜王はこの桂馬を角で捕獲すると。。
(58手目△同角)
60手目△7六桂。
上図での持ち駒
▲近藤五段: 角、歩3
△羽生竜王: 歩
手にした桂馬をすかさず7筋に投入し
王手・角取りの大技をかけて厳しく追撃します。。
近藤五段は▲7七玉(61手目)で王手をかわし、以下
△8八桂成~▲同玉~△9九角~▲9八玉~△5五角成~
▲4七銀に△3七馬~▲同金~下図70手目△同飛成と進行。。
70手目△7七飛成。
上図での持ち駒
▲近藤五段: 角2、桂、歩4
△羽生竜王: 金、歩
羽生竜王は気持ちよく駒を回転させながら
陣形を乱した先手陣に飛車を成り込みました。。
80手目△3八龍。
上図での持ち駒
▲近藤五段: 角、金、銀、桂、歩5
△羽生竜王: 角、銀、歩2
直後に近藤五段も飛車先2筋から反撃しますが
羽生竜王は構うことなく力づくで先手陣へと侵攻。。
上図で再び王手・飛車取りの大技を掛けますが。。
97手目▲5五桂。
上図での持ち駒
▲近藤五段: 金、銀、歩4
△羽生竜王: 角、桂、歩
華々しく、一方的に踏み込んだ代償も大きく
近藤五段の攻守の粘りも利いて形勢は混沌。。
後手玉も相当危ない形になりました。。
103手目▲6三桂成。
上図での持ち駒
▲近藤五段: 金、銀、桂、歩6
△羽生竜王: 角、金、歩
際どい終盤戦は、それでも一足早く
羽生竜王が先手玉に「詰めろ」をかけると
間髪入れずに近藤五段は桂馬を飛び込ませて王手。。
最後の勝負で後手玉を詰ましに行きます。。。
が、しかし
【 投了図・128手目△9四金 】
投了図での持ち駒
▲近藤五段: 飛、角、金、銀2、桂、歩7
△羽生竜王: 金、桂
羽生玉の生命力は逞しく。。
先手の猛攻を振り切ると、羽生竜王は反転速攻で
先手玉を仕留めに掛かり、上図の局面をみて
近藤五段は無念の投了を告げました。。
国民栄誉賞受賞後、そして大きな節目となった
衝撃の藤井聡太五段(現六段)戦後、初白星を飾った
羽生竜王は重みのある新たな一歩を踏み出しました。。
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王将戦/第4局・一日目の所感
舞台は尼崎。。
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美しき挑戦は叶わず。。
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