豪腕はいまだ沈黙。。第31期竜王戦ランキング戦1組/2回戦「渡辺棋王-稲葉八段を振り返ろう」
2手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: なし
△渡辺棋王: なし
今朝のエントリーでもご紹介させて頂きました通り
本日は第31期竜王戦ランキング戦2組トーナメントに
注目の三浦弘行九段が登場。1回戦を戦います。。
一昨日火曜日(20日)は、ランキング戦の1組に
「将棋ソフト冤罪事件」の告発者・渡辺明棋王が登場。
今期、無念の陥落となった虎の子のタイトル奪還に向け
稲葉陽八段との2回戦に臨みました。。
先手は稲葉八段。
その初手は飛車先を突く▲2六歩から。
対します、渡辺棋王も2手目に同じく飛車先を突く
△8四歩と返して、対局はスタート。。
5手目▲7八金。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: なし
△渡辺棋王: なし
続く3手目に、稲葉八段が角道を開くと
渡辺棋王は追随せずに△3ニ金(4手目)と返して
態度を保留し、先手に手番を渡しました。。
この手をみて
稲葉八段も同じく角に金を連結すると。。
6手目△8五歩。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: なし
△渡辺棋王: なし
渡辺棋王は飛車先を決め
「角換わり」での勝負を指向しました。。
9手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: なし
△渡辺棋王: なし
そのまま定跡手順の進行となり
上図で稲葉八段が銀を8筋ではなく6筋に構えて
後手からの角交換、あるいは角交換拒否に備えると。。
10手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: なし
△渡辺棋王: 角
渡辺棋王はケレン味なく、角交換を敢行。
手損のないノーマル角換わりとなりました。。
24手目△8四銀。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角
△渡辺棋王: 角
角交換成立後
次なる焦点は右銀のポジショニングとなりますが
オーソドックスな「腰掛銀」に構えた稲葉八段に対して
渡辺棋王はより攻撃的な「棒銀」を採用しました。。
上図から次に
稲葉八段が右の金を立て、自陣をはかったのをみて
(25手目▲4八金)
26手目△7五歩。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角
△渡辺棋王: 角
渡辺棋王は7筋の歩を突き合わせ
早くも仕掛けを開始しました。。
この手に対し、稲葉八段は同歩とは応じずに
右の桂馬を跳躍させて(27手目▲3七桂)、以下
△7六歩~▲同銀~△7三銀~▲4五桂~△4四銀に
▲7五銀~△7四歩をみて、下図35手目▲6六銀と進行。。
35手目▲6六銀。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角、歩
△渡辺棋王: 角
稲葉八段は前に出た後手の反動を利用して
4筋に桂馬の起点を作ると、左の銀をポジションを変えて
戦場に二枚の銀を並べる好形を築きました。。
この間に、「棒銀」を自陣に引き下げ
飛車先を軽くした渡辺棋王は8筋の歩を突き合わせ
追撃を試みますが(36手目△8六歩)。。
41手目▲2四歩。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角、歩
△渡辺棋王: 角、歩
後手の飛車先を重心低く受けた稲葉八段は
すかさず自らの飛車先で歩を突き合わせ反発。。
メリハリの利いた攻防で均衡を保ちます。。
59手目▲8九飛。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角、歩2
△渡辺棋王: 歩
互いに飛車先の歩を切ると
自陣の整備に取り掛かり、端歩を巡る攻防の後
渡辺棋王は先に手持ちの角を投入し形を決めました。
(58手目△5四角)
この手をみて、稲葉八段は
駒の足りない8筋へ飛車の援軍を送ります。。
次に、渡辺棋王は左の桂馬を跳躍(60手目△3三桂)。。
駒組みが沸点に達した、次の瞬間。。
61手目▲7五歩。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角、歩
△渡辺棋王: 歩
稲葉八段は7筋の歩を突き合わせ、宣戦布告。
いよいよ戦いの火ぶたが切って落とされました。。
渡辺棋王は強く△同歩(62手目)と応じて、以下
▲7四歩~△4五桂~▲7三歩成~△同金に▲6五桂~
△7四金~▲5五桂~△6五銀をみて▲7ニ角~△6六銀~
下図73手目▲8一角成と激しく進行。。
73手目▲8一角成。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 飛
△渡辺棋王: 銀、桂2、歩3
互いに我が道を行く熱き攻め合いとなり
稲葉八段が角で飛車を捕獲し、馬を作りますが
手番を握った渡辺棋王は、上図から次に。。
74手目△5七桂成。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 飛
△渡辺棋王: 銀、桂2、歩4
稲葉玉の頭上に桂馬を叩き込み腕まくり。。
力尽くでねじ伏せに掛かりました。。
が、しかし
83手目▲7ニ飛。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 銀2
△渡辺棋王: 金、銀、桂3、歩5
渡辺棋王自慢の豪腕は、本局も不発。。
代わりにすぐさま反撃に転じた稲葉八段の攻めは
鋭く厳しく、形勢はあっという間に後手へと傾きます。。
【 投了図・99手目▲4五桂 】
投了図での持ち駒
▲稲葉八段: 金、銀2、桂、歩2
△渡辺棋王: 飛、金、銀、桂、歩5
上図の局面をみて渡辺棋王、無念の投了。
稲葉八段が攻守に切れをみせ、見事完勝を飾りました。
この結果、稲葉八段は1組ベスト4進出。
「久保利明王将-広瀬章人八段」の勝者と
決勝進出を懸けて準決勝を戦います。。
一方、本局も勝負どころで精彩を欠いた
渡辺棋王は4位決定戦に回り、裏街道からの
決勝トーナメント進出を目指します。。
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羽生竜王も新たな第一歩
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王将戦/第4局・一日目の所感
舞台は尼崎。。
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美しき挑戦は叶わず。。
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