一瞬の閃光。。第76期A級順位戦プレーオフ/3回戦「広瀬八段-豊島八段の終盤戦を振り返ろう」
74手目△8八歩。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 角、歩2
△広瀬八段: 角、香、歩4
昨日、東京・将棋会館にて行なわれました
第76期A級順位戦パラマス式プレーオフ/3回戦
大注目の「広瀬章人八段-豊島将之」八段は
上図の局面で夜戦に備えて夕食休憩に突入。。
10手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲豊島八段: なし
△広瀬八段: 角
振り駒の結果
先手となった豊島八段の初手▲2六歩に対し
広瀬八段も2手目△8四歩と同じく飛車先を突き
対局はスタート。。
すると、そのまま定跡手順の進行となり
迎えた上図の局面で、広瀬八段から角交換を敢行。
手損のない「ノーマル角換わり」となりました。。
18手目△7四歩。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 角
△広瀬八段: 角
角交換成立後、次なる争点は右銀の活用。
常套手段である「腰掛銀」を目指す豊島八段に対して
広瀬八段は上図で7筋の歩を突き「棒銀」、あるいは
「早繰り銀」投入を示唆しますが。。
30手目△5四銀。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 角
△広瀬八段: 角
前例を踏襲しながらの序盤の駆け引きの末
広瀬八段は銀を中央5筋へと繰り出し、先手より先に
「腰掛銀」に形を決めました。。
33手目▲5六銀。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 角
△広瀬八段: 角
続いて豊島八段も、9筋の端歩を突き合ってから
銀を5筋に構えて戦型は「角換わり相腰掛銀」に決定。。
40手目△4五桂。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 角
△広瀬八段: 角
両者は呼吸を合わせて駒組みを進めますが
広瀬八段が6筋の歩を突き合わせ(39手目▲6五歩)
先に仕掛けを開始します。しかし、豊島八段は動じることなく
すぐさま右の桂馬を跳ね上げ、反発しました。。
69手目▲1三歩成。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 角、歩2
△広瀬八段: 角、歩4
豊島八段が主導する形で、いざ開戦となり
上図の局面で豊島八段は1筋の端から踏み込みます。。
一方、先手の手に乗りながら3筋に銀と桂馬を重ねて
基点を作った広瀬八段は。。
74手目△8八歩。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 角、歩2
△広瀬八段: 角、香、歩4
先手の端攻めが一段落したところで
自らの飛車が出番を待つ8筋で敵陣に叩きを入れ
反撃の狼煙を上げた局面で、夕食休憩に突入。。
【 夕食のオーダー 】
豊島八段: カレーライス(大盛り)
広瀬八段: うな重(梅)、赤だし
夕食休憩が明けても
豊島八段はすぐには次の手を指さずに長考へ。。
休憩前と合わせて59分の長考の末
突き立てられた歩を▲同金(75手目)で払うと。。
76手目△6六歩。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 角、歩3
△広瀬八段: 角、香、歩3
広瀬八段は13分の考慮の後
6筋に歩を垂らし、嫌らしく味をつけます。。
がしかし、終局後の感想戦で広瀬八段は
この△6六歩が「緩手だったかもしれない」と反省。。
微妙な一着を前に、豊島八段は3分の少考で。。
77手目▲2四歩。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 角、歩3
△広瀬八段: 角、香、歩3
垂らされた歩を相手にせず
飛車先2筋の歩を突き合わせ、攻勢に転じました。。
広瀬八段は△同金(78手目)でこの歩を払い
以下、▲3六香~△同銀~▲4三歩~△3ニ玉に▲5一角~
△3三角~▲同角成~△同玉~下図87手目▲5一角と進行。。
87手目▲5一角。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 桂、歩2
△広瀬八段: 角、香2、歩4
豊島八段は強くアクセルを踏み込み
後手陣に侵攻、角を起点に広瀬玉へと迫ります。。
一方、守勢に立たされた広瀬八段が狙われた玉を
兎にも角にも上部に逃がすと(88手目△3四玉)。。
89手目▲2四角成。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 金、桂、歩2
△広瀬八段: 角、香2、歩4
豊島八段は角切りの王手で強襲。。
盤上に気合と自信を投影し、さらに強く前に出ます。。
101手目▲2四飛。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 銀、桂、歩2
△広瀬八段: 角2、香、歩6
豊島八段は後手玉を押し返すと
6筋の歩を取り込んでから(99手目▲6七銀)
後手の銀取りに構うことなく(100手目△6五香)
飛車を走らせ駒音高く、勝負を決めに行きます。。
111手目▲5六銀。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 銀、桂2、歩2
△広瀬八段: 角2、金、銀、香、歩7
広瀬八段は香車で銀を取り込んでから
豊富な手持ちの戦力を頼りに反撃の機会を待ちつつ
玉の逃走を狙いますが、しかし、豊島八段の追及は厳しく
敵将を狙いつつ、確実に後手の手段を刈り取ります。。
【 投了図・129手目▲6ニ歩成 】
投了図での持ち駒
▲豊島八段: 金、桂2、香、歩3
△広瀬八段: 角2、金2、香2、歩5
最終盤戦は一方的な展開となり
上図の局面で広瀬八段は為す術なく、無念の投了。。
1回戦からプレーオフを戦い続ける豊島八段は快勝で
破竹の3連勝を飾り、準決勝へと駒を進めました。。
注目の準決勝は今週の日曜日(18日)
東京・将棋会館にて羽生善治竜王と対戦します。
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NHK杯では山崎八段、躍動
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「将棋界の一番長い日」は劇的なフィナーレ。。
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羽生竜王、新たな第一歩
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美しき挑戦は叶わず。。
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