完全無欠の全勝優勝。。第76期C級2組順位戦/最終戦「藤井六段-三枚堂六段を振り返ろう」
すでに3月も半ば
年度末も迫り大詰めを迎える第76期順位戦のうち
今回は昨日行なわれましたC級2組の最終戦/10戦から
「藤井聡太六段-三枚堂達也六段」の模様を振り返ります。
2手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲藤井六段: なし
△三枚堂六段: なし
先手は現在公式戦14連勝中の藤井六段。
初参戦の順位戦でも破竹の開幕9連勝を飾り
すでに優勝と来期のC級1組昇級を決めていますが
貪欲に白星を狙う本局の初手は▲2六歩から。。
対します、三枚堂六段は2手目に
角道を開ける△3四歩と返し、対局はスタート。。
6手目△8五歩。
上図での持ち駒
▲藤井六段: なし
△三枚堂六段: なし
続く3手目に、藤井六段が角道を開くと
三枚堂六段は飛車先を突く互い違いの出だしから
まずは相居飛車が確定すると、次に両者は息を合わせて
飛車先の歩を伸ばし、「横歩取り」模様の進行へ。。
14手目△8六同飛。
上図での持ち駒
▲藤井六段: 歩2
△三枚堂六段: 歩2
そのまま両者は早いテンポで定跡を踏襲し
互いに飛車を走らせ歩を交換した、上図から次に。。
15手目▲3四飛。
上図での持ち駒
▲藤井六段: 歩2
△三枚堂六段: 歩2
藤井六段が2筋の浮き飛車でお隣り3筋の
歩をかすめとり、戦型は「横歩取り」に決定しました。
18手目△5ニ玉。
上図での持ち駒
▲藤井六段: 歩3
△三枚堂六段: 歩2
3筋に回った先手の飛車先を
三枚堂六段が角で受けると(16手目△3三角)
藤井六段は3分の少考の後、飛車を引かずに玉を立て
「中住まい」に構えました。。
この手をみて
三枚堂六段も追随し、「相中住まい」に。。
21手目▲7七角。
上図での持ち駒
▲藤井六段: 歩3
△三枚堂六段: 歩3
飛車を浮かせたまま駒組みを進める藤井六段に対し
三枚堂六段も8筋の浮き飛車でお隣り7筋の歩を取り
「相横歩取り」に。。すると藤井六段は後手の飛車先を
後手と同じく角で受けました。。
この手を見て
三枚堂六段ががら空きの2筋に歩を垂らすと。。
(22手目△2六歩)
23手目▲8四飛。
上図での持ち駒
▲藤井六段: 歩3
△三枚堂六段: 歩2
藤井六段は2筋を受けることなく
浮かせたままの飛車を同じくがら空きの8筋へ移動し
より強く、敵陣に圧力をかけます。。
26手目△7ニ金。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 歩2
△三枚堂六段: 歩
三枚堂六段は自陣低くくに歩を配置し
先手の飛車先を受けますが(24手目△8ニ歩)
藤井六段はその上に歩を打ち込み、グリグリと
さらに圧力を加えて行きます。。
押しつぶされてなるものか、と
三枚堂六段が金の援軍を送った、次の瞬間。。
27手目▲3三角成。
上図での持ち駒
▲藤井六段: 角、歩2
△三枚堂六段: 歩
藤井六段はズバッと角交換を敢行しました。。
三枚堂六段は△同金(28手目)で角を払って、以下
▲8五飛~△3ニ金~▲7七金~△7四歩~▲8ニ歩成に
△同銀~▲8三歩~△同銀~下図37手目▲5六角と進行。
37手目▲5六角。
上図での持ち駒
▲藤井六段: 歩2
△三枚堂六段: 角、歩3
角交換成立後
8筋の駒を解して後手の陣形を乱した
藤井六段は後手の飛車に当てて5筋の好所に
手持ちの角を投入し、形を決めました。。
40手目△2ニ銀。
上図での持ち駒
▲藤井六段: 歩2
△三枚堂六段: 角、歩2
三枚堂六段が飛車を逃げずに、先手の飛車を歩で叩くと
藤井六段は8筋での役割を終えた飛車を2筋に振り直します。
次に、我慢の展開が続く三枚堂六段が銀を開いた受けた局面で
午前の対局は終了となり、昼食休憩突入となりました。。
【 お昼のオーダー 】
藤井六段: じょい豆腐定食
三枚堂六段: うな重(梅)、肝吸い
42手目△1四角。
上図での持ち駒
▲藤井六段: 歩
△三枚堂六段: 歩2
午後の対局開始の一手で
藤井六段が飛車先に歩を打ち込むと(41手目▲2四歩)
三枚堂六段は1筋に角を投入し、攻守に利かせます。。
この手に対し、藤井六段は
角で後手の飛車を捕獲してから(43手目▲7三角)
スッと、飛車を一段引き下げて(45手目▲2六飛)
後手が事前に味をつけた歩を取り込みました。。
50手目△3一歩。
上図での持ち駒
▲藤井六段: 飛、歩2
△三枚堂六段: なし
三枚堂六段は握った手番で
飛車との交換で手にした角を投入(46手目△4四角)
藤井飛車を押さえ込むと何と、自陣三筋の最下段に
金底の歩を配置し、守備を整えます。。
まだ本格開戦に至っておらず、重い一着にも感じますが
本局の勝利に懸ける、三枚堂六段の熱き思いが伝わります。。
が、しかし。。
61手目▲3七桂。
上図での持ち駒
▲藤井六段: 飛、歩3
△三枚堂六段: なし
藤井六段は全く動じることなく
再び飛車を戦場に繰り出すと、圧倒的な圧力で
後手の二枚の角をグイグイと押さえ込みます。。
いつでも捌ける準備を整えた先手に対して
グズグズしている暇のない三枚堂六段は、次に。。
62手目△6六角。
上図での持ち駒
▲藤井六段: 飛、歩3
△三枚堂六段: 金
まずは一枚目の角を切って金を捕獲し、以下
▲同飛に△2七角成~▲3八銀~△5四馬に▲6五角~
△同馬~▲同飛をみて、下図70手目△4四角と進行。。
70手目△4四角。
上図での持ち駒
▲藤井六段: 飛、角、歩3
△三枚堂六段: 金
三枚堂六段は切り札の角を頼りに攻勢に転じ
攻め合いに全てを託しますが。。
81手目▲6一角。
上図での持ち駒
▲藤井六段: 歩4
△三枚堂六段: 金、桂
藤井六段は攻守に磐石。
後手の猛攻を冷静に凌ぎながら手持ちの大駒を
立て続けに二発、後手陣に投入し勝負を決めました。。
【 投了図・85手目▲5九玉 】
投了図での持ち駒
▲藤井六段: 歩3
△三枚堂六段: 金
鉄壁の先手を前に
三枚堂六段は為す術なく、上図の局面をみて
無念の投了を告げました。。
終局時刻は午後8時14分。
昨年7月の初手合いで敗れた相手にリベンジを果たし
見事な完勝を飾った藤井六段は順位戦全勝でフィニッシュ。
優勝と一期での昇級に自ら華を添えました。
この勝利で今期の勝ち星は60勝の大台に到達。
さらに、公式戦の連勝も「15」に伸ばした神童は止まらず。
圧倒的な存在感を強め、将棋界を席巻します。。
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道産子旋風は女流将棋界でも。。
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悔しさはプレーオフで。。
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NHK杯では山崎八段、躍動
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「将棋界の一番長い日」は劇的なフィナーレ。。
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美しき挑戦は叶わず。。
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