美しき終盤力。。第66期王座戦・本戦/2回戦「久保王将-斎藤七段を振り返ろう」
中村太地王座への挑戦権を懸けて争われている
第66期王座戦挑戦者決定トーナメントは現在、佳境に。。
今回は先週の金曜日(22日)に行なわれた注目の2回戦
「久保利明王将-斎藤慎太郎七段」の模様を振り返ります。
2手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: なし
△久保王将: なし
先手は斎藤七段。
その初手は生粋の居飛車党の誇りを示す
飛車先を突く▲2六歩から。。
対します、久保王将は2手目に
△3四歩と角道を開き、含みを持たせて
対局はスタート。。
4手目△4四歩。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: なし
△久保王将: なし
続く3手目に、斎藤七段が角道を開くと
久保王将は自らの角道を止め、代名詞である
振り飛車投入を示唆しました。。
12手目△9五歩。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: なし
△久保王将: なし
オーソドックスに駒組みを進める先手に対して
久保王将は居玉にして居飛車のまま、まずは
9筋の端歩を突き越すと。。
14手目△4ニ飛。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: なし
△久保王将: なし
斎藤七段の▲5八金右(13手目)をみて
久保王将は飛車に手をかけ、4筋へと振り
角道を閉じた「四間飛車」に構えました。。
21手目▲3五歩。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: なし
△久保王将: なし
久保王将は自陣の右側に「美濃囲い」を築いてから
居玉を解除し、玉の囲いを目指しますが(20手目△6ニ玉)
次の瞬間、斎藤七段は挨拶代わりに3筋の歩を突き合わせ
早いタイミングで先に仕掛けを開始します。。
28手目△4五歩。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: なし
△久保王将: 歩
突き合わされた歩を取り込んだ
久保王将はそのまま歩を敵陣目掛けて前進させると
飛車を3筋に合わせてから、おもむろに4筋の歩を突き
角道を通し、捌きの準備を整えました。。
この手に対し、斉藤七段は。。
29手目▲3三角成。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: 角
△久保王将: 歩
すかさず角交換を敢行し
先手らしく、積極的に局面を動かします。。
久保王将は△同飛(30手目)と応じて、以下
▲5七角~△3一飛~▲2四歩~△同歩~▲同飛に
△3三角~▲2三飛成~△3ニ金をみて、下図39手目
▲2七龍と進行。。
39手目▲2七龍。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: 歩
△久保王将: 歩2
角交換成立後
斎藤七段は手にした角を先に自陣に投入し
形を決めてから、飛車先で歩の交換を成立させ
流れるように龍を作りました。。
一方、先手の手に乗る形となった
久保王将は手番を握った上図の局面で。。
40手目△9九角成。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: 歩
△久保王将: 香、歩2
サッと角を敵陣に飛び込ませ
位を張った9筋の隅に成り込みました。。
53手目▲6六角。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: 歩2
△久保王将: 歩2
馬を起点に端からの突破を狙う久保王将ですが
しかし、斎藤七段は手厚い防波堤を築いて対応。。
すると上図で、角が見晴らし良く戦場に顔を出し
ジワジワと先手がペースを握り始めます。。
64手目△8七歩成。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: 歩2
△久保王将: 歩3
それでも
久保王将は直後に桂交換を成立させてから
飛車を8筋へと振り直し、大駒の連係に成功。。
初志貫徹で端から先手陣へと襲い掛かります。。
71手目▲5ニ桂成。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: 金、桂、歩2
△久保王将: 歩5
しかし、自陣の右辺が広い斎藤七段は
後手の圧力をものともせず、敵陣に強く踏み込み
熱き終盤戦の幕を開きました。。
81手目▲6三銀。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: 歩
△久保王将: 角、銀、桂、歩5
詰将棋で鍛えた終盤力が自慢の斎藤七段は
将棋界屈指の終盤力を誇る久保王将を向こうに回し
ケレン味なく、一直線での寄せを狙います。。
99手目▲5一角。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: 歩2
△久保王将: 角、金、銀4、桂2、歩4
華麗な捌きの裏芸として
形勢を損ねてからの強靭な二枚腰と勝負根性で
幾多の名勝負、大逆転を繰り広げる久保王将ですが
しかし、本局は斎藤七段の厳しい寄せにタジタジ。。
いつまでも途切れることのない
先手のパンチの雨あられを凌ぐのが精一杯と
苦しい終盤戦を強いられました。。
【 投了図・115手目▲9五龍 】
投了図での持ち駒
▲斎藤七段: 桂、歩2
△久保王将: 角2、金、銀4、桂2、歩6
素晴らしい腕力で久保玉を逃すことなく
きっちりと仕留め上げた斎藤七段が、上図の局面で
久保王将を投了に追い込み、見事な勝利を飾りました。
この結果、斎藤七段はベスト4進出が決定。
挑戦者決定戦進出を懸けて、神童・藤井聡太七段との
注目の準決勝に臨みます。。
□□□
三浦九段ももちろん、今期の主役のひとり。。
□□□
Aブロックは本命が突破。。
オリジナルルールが大好評!
□□□
名人戦/第6局終局直後の印象。。
名人戦/第6局・一日目の所感
舞台は将棋のまち、天童にて。。
□□□
いきなり藤井七段登場、そして衝撃。。
□□□
棋聖戦/第2局終局直後の印象