尋常ならざる切れ味健在。。第59期王位戦7番勝負/第1局「菅井王位、衝撃の圧勝」
初防衛を目指す菅井竜也王位に
豊島将之八段が挑戦する、第59期王位戦7番勝負。
20代同士のフレッシュな顔合わせが実現した
将棋界の「夏の風物詩」が昨日より、愛知県は豊田市
「ホテルフォレスタ」にて開幕の時を迎えました。。
振り駒で決まる開幕戦の手番で
幸先良く先手を得た菅井王位の初手は▲5六歩。
いきなり中央5筋の歩を突き、代名詞でもあります
振り飛車投入を示唆しました。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲菅井王位: なし
△豊島八段: なし
対します、豊島八段は2手目に
△8四歩と飛車先を突き、こちらは居飛車を明示。
互いのポリシーを盤上に投影し、対局はスタート。。
6手目△4ニ玉。
上図での持ち駒
▲菅井王位: なし
△豊島八段: なし
菅井王位が角道を開けてから
5筋の位を確保すると、豊島八段は角道を閉じたまま
居玉を解除し、自陣の上部の隙をなくしました。。
この手をみて、菅井王位は。。
7手目▲5八飛。
上図での持ち駒
▲菅井王位: なし
△豊島八段: なし
1分の少考で飛車に手をかけ、5筋へと振り
大事な開幕戦は「中飛車」を投入しました。。
14手目△7四歩。
上図での持ち駒
▲菅井王位: なし
△豊島八段: なし
双方、飛車のポジションが決まり
戦型は「対抗形」となると、菅井王位も居玉を解除し
玉の囲いを目指しますが、豊島八段は飛車先を決めてから
上図で飛車のコビンを開き、先手の駒組みをけん制します。。
19手目▲6六銀。
上図での持ち駒
▲菅井王位: なし
△豊島八段: なし
急戦を示唆する後手に対し、菅井王位も機敏に反応。。
後手の銀の動きに合わせて自軍の銀も戦場に繰り出し
6筋で「銀対抗」形が描き出されました。。
24手目△4四銀。
上図での持ち駒
▲菅井王位: なし
△豊島八段: なし
直後に角道を開いた(20手目△3四歩)
豊島八段は、そのライン上に左の銀を乗せて
戦場へと繰り出し、先手が張った天王山・5筋の位を
左右の銀で挟みこむと。。
26手目△7三桂。
上図での持ち駒
▲菅井王位: なし
△豊島八段: なし
次に、菅井王位の▲4六歩(25手目)をみて
右の桂馬を跳躍させ、攻撃態勢が整いました。。
この手をみて、菅井王位は。。
27手目▲5四歩。
上図での持ち駒
▲菅井王位: なし
△豊島八段: なし
こちらも駒組みは十分とばかりに
争点となった飛車先5筋で歩を突き合わせ
先に仕掛けを開始しました。。
【 一日目終了図・34手目△4ニ金寄 】
上図での持ち駒
▲菅井王位: なし
△豊島八段: 歩
5筋での歩交換成立後
両者は腰を落としてじっくりと長考に耽ります。。
菅井王位の▲5四歩(33手目)をみて
豊島八段が2時間13分にも及んだ大長考の末に
ジッと金を4筋に寄せると、今度は菅井王位が長考へ。。
菅井王位の長考が1時間36分経過したところで
終了時刻(18時)となり、そのまま次の手を封じて
一日目は終了となりました。。
一夜が明けて
迎えた本日、決着の二日目は。。
35手目▲4五歩。
上図での持ち駒
▲菅井王位: なし
△豊島八段: 歩
注目の菅井王位の「封じ手」は▲4五歩。
事前に突いた4筋の歩を突き越し、後手の銀を叩きました。
この「封じ手」に対し
豊島八段がすぐに△同銀(36手目)と応じると。。
37手目▲7五歩。
上図での持ち駒
▲菅井王位: なし
△豊島八段: 歩2
菅井王位はノータイムで、狙いの一着
7筋の歩を突き出し、攻勢を強めます。。
38手目△8四飛。
上図での持ち駒
▲菅井王位: なし
△豊島八段: 歩
開戦への機運が高まる中
豊島八段は30分の考慮の後、飛車をフワリと浮かせ
桂頭を守りつつ守勢に回り、手番を先手に渡すと。。
39手目▲7四歩。
上図での持ち駒
▲菅井王位: 歩
△豊島八段: 歩2
菅井王位は10分の考慮の後
7筋の歩を取り込み、駒音高く宣戦布告。。
豊島八段はこの歩を△同飛(40手目)で払って、以下
▲7五銀~△同飛~▲2ニ角成~△同玉~▲5三歩成~
△同金をみて、下図47手目▲6六角と進行。。
47手目▲6六角。
上図での持ち駒
▲菅井王位: 歩
△豊島八段: 角、銀、歩4
いざ開戦と同時に、菅井王位の華麗な捌きが炸裂。。
まずは上図で、王手・飛車取りの大技を決めると。。
55手目▲5五飛。
上図での持ち駒
▲菅井王位: 歩
△豊島八段: 角2、歩3
角との交換で手にした飛車を敵陣に投入。。
さらにオリジナルの飛車が5筋を軽快に駆け上がり
悠々と銀の捕獲を確定させました。。
60手目△8八角。
上図での持ち駒
▲菅井王位: 銀、歩
△豊島八段: 歩3
すざまじい切れ味で形勢を引き寄せた
菅井王位の猛攻が一段落すると、豊島八段は
二枚の角を起点に、すぐさま反撃に転じます。。
上図から次に、菅井王位が
飛車を5筋に寄せた局面で(61手目▲5六飛)
午前の対局は終了となり、昼食休憩に突入。。
【 お昼のメニュー 】
菅井王位: フルーツ盛り合わせ、ヨーグルト、栄養ドリンク
豊島八段: うなぎ丼、フルーツ盛り合わせ
午後の対局開始の一手で
豊島八段が香車を捕獲し、馬を作ると。。
(62手目△9九角成)
63手目▲5四飛。
上図での持ち駒
▲菅井王位: 角、銀、歩
△豊島八段: 香、歩3
菅井王位は6分の考慮で
角との交換で飛車切りを敢行、勝負に出ます。。
71手目▲4一歩成。
上図での持ち駒
▲菅井王位: 角、歩
△豊島八段: 飛、香、歩2
立て板に水の指し回しで
局面を終盤戦へと導いた菅井王位は、清々しく
自軍の駒を連動させて、一息での寄せに入りました。。
86手目△3ニ香。
上図での持ち駒
▲菅井王位: 金、歩
△豊島八段: 飛、歩2
圧倒的な勢いで駒を捌き続ける菅井王位の前に
防戦一方となった豊島八段は、それでも必死の粘りで
勝利への執念を燃やしますが。。
115手目▲3三桂成。
上図での持ち駒
▲菅井王位: 角、金、銀、歩
△豊島八段: 銀、歩2
攻守に一切の隙がない
菅井王位は豊島八段の粘りも反撃も寄せ付けず。。
盤上を余すところなく、一方的に支配し続けます。。
【 投了図・133手目▲3ニ金 】
投了図での持ち駒
▲菅井王位: 角、銀、香
△豊島八段: 飛、角、銀2、桂、歩3
最後まで涼しげに
菅井王位が仕上げにかかった、上図の局面で
豊島八段は為す術なく、無念の投了を告げました。。
終局時刻は午後6時17分。
前期、羽生善治王位(当時)に圧勝につぐ圧勝を重ねた
番勝負を彷彿とさせる、圧倒的な構想と切れ味をみせつけた
菅井王位が初防衛に向けて、衝撃の白星発進を決めました。。
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王位戦/第1局・一日目の所感
開幕戦の舞台は豊田市
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棋聖戦/第3局終局直後の感想。。
舞台は静岡、沼津決戦。。