さすがの貫禄。。第31期竜王戦・4組昇級者決定戦/3回戦「攻守に鋭く、菅井王位完勝」
羽生善治棋聖が見事、カド番を凌いだ
第89期棋聖戦5番勝負/第4局が行なわれた
昨日、注目の菅井竜也王位が公式戦に登場。。
第31期竜王戦の4組昇級者決定トーナメントで
伊藤真吾五段との3回戦に臨みました。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲菅井王位: なし
△伊藤五段: なし
先手は菅井王位。
その初手でいきなり中央5筋の歩を突き
代名詞である振り飛車投入を示唆しました。。
対します、伊藤五段も振り飛車党ですが
本局では2手目△8四歩と飛車先の歩を突き
居飛車を明示し、対局はスタート。。
7手目▲5八飛。
上図での持ち駒
▲菅井王位: なし
△伊藤五段: なし
振り飛車を譲られた形となった
菅井王位は5筋の位を確保してから(5手目▲5五歩)
飛車をその5筋へと振り、得意の「中飛車」を投入。。
16手目△7四歩。
上図での持ち駒
▲菅井王位: なし
△伊藤五段: なし
互いに飛車のポジションが決まり
戦型が「対抗形」となると、次に両者は息を合わせて
玉の囲いを目指しますが、上図の局面で伊藤五段は
飛車のコビンを開き、急戦投入を示唆します。。
20手目△6四銀。
上図での持ち駒
▲菅井王位: なし
△伊藤五段: なし
菅井王位は囲いを優先。。
振り飛車の相棒である「美濃囲い」に玉をおさめます。。
(19手目▲3八銀)
すると、先手が囲いを築く間に
伊藤五段は右の銀を戦場へと繰り出すと。。
24手目△4四銀。
上図での持ち駒
▲菅井王位: なし
△伊藤五段: なし
続けて左の銀も戦場へと繰り出し
先手が張った5筋の位へ攻撃陣の利きを足します。。
この手をみて、菅井王位も
飛車先の銀を立て、5筋の歩を支えた
(25手目▲5六銀)
次の瞬間。。
26手目△6六歩。
上図での持ち駒
▲菅井王位: なし
△伊藤五段: なし
伊藤五段は6筋の歩を突き合わせ
若き王位を相手に、積極的に仕掛けを開始します。。
菅井王位は▲同歩(27手目)と応じて、以下
△7ニ飛に▲4六歩~△7五飛~▲4五歩~△3三銀に
▲6六角~△7四飛をみて、下図35手目▲5七角と進行。。
35手目▲5七角。
上図での持ち駒
▲菅井王位: 歩
△伊藤五段: 歩
歩交換成立後
飛車を7筋に合わせた伊藤五段に対して
菅井王位は巧みに角を活用しながら手番を握ると。。
45手目▲7六歩。
上図での持ち駒
▲菅井王位: なし
△伊藤五段: 歩
サラサラと、流れるような指し回しで
自陣の駒を組み替え、後手の飛車を押さえ込みます。。
あっという間に飛車の稼動域を奪われた
伊藤五段が飛車を8筋に振り直すと(46手目△8四飛)
菅井王位もすかさず飛車に手をかけ、同じく8筋へ。。
(47手目▲8八飛)
49手目▲2四同角。
上図での持ち駒
▲菅井王位: 角
△伊藤五段: 歩
何とか局面を動かしたい
伊藤五段が次に角をのぞかせ(48手目△2四角)
角交換を注文すると、菅井王位はこの申し出を受け入れ
自ら角交換を敢行しました。。
60手目△8六銀。
上図での持ち駒
▲菅井王位: 角、歩
△伊藤五段: 角、歩3
注文通りに角が捌けた
伊藤五段は飛車先に銀を乗せて
拠点に据えた8筋から攻勢を強めます。。
77手目▲5六金。
上図での持ち駒
▲菅井王位: 桂、歩2
△伊藤五段: 桂、歩4
しかし、菅井王位は後手の圧力にも全く動じず。。
桂交換を成立させてから、後手が機敏に作った馬を
あっさりと追い込み、金との交換で捕獲に成功。。
(78手目△同馬~▲同銀~)
さらに。。
91手目▲3四飛。
上図での持ち駒
▲菅井王位: 角、桂、香、歩2
△伊藤五段: 銀、桂、歩4
自軍の馬は敵陣9筋に待機させた状態で
後手が必死に狙う飛車を悠々、盤上を移動させると
上図で後手玉の頭上目掛けて気持ちよく突進。。
涼しげな王手で、終盤戦突入を告げました。。
105手目▲3七馬。
上図での持ち駒
▲菅井王位: 銀、香、歩2
△伊藤五段: 飛、桂、歩2
菅井王位は瞬く間に後手陣を制圧。。
寄せの形をしっかりと築いてから、馬を自陣に引き戻し
自玉のコビンをガードして、攻守に万全を期します。。
【 投了図・113手目▲7四金 】
投了図での持ち駒
▲菅井王位: 銀、香、歩
△伊藤五段: 飛、歩3
全てを見透かされたように盤上を支配された
伊藤五段は為す術なく、上図で無念の投了を告げました。。
攻守ともに切れ味満点。。
タイトルホルダーの貫禄をみせつけた菅井王位が
見事な完勝を飾りました。。
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棋聖戦/第4局終局直後
棋聖戦/第4局開幕前夜。。